「福井の宝」笏谷石+越前和紙…「笏谷和紙」40歳男性が開発、商品化目指す 光の加減で色合いが変化
福井県越前市の設備業の山本正和さん(40)が、笏谷石を細粒化して越前和紙に漉き込んだ「笏谷和紙」を開発し、商品化を目指している。家屋の解体時などに廃棄される笏谷石を引き取って再利用する計画で、「福井の宝である笏谷石と越前和紙の融合を発信していきたい」としている。クラウドファンディング(CF)で9月1日まで支援を募っている。 福井市の足羽山で産出された笏谷石は、福井城の石垣をはじめ、各地の寺社や家屋の建材にも取り入れられ、福井の暮らしに深く根差してきた。現在は採掘されておらず貴重な存在となっているが、古民家の解体時に基礎石に使われている笏谷石が処分されるケースがあるという。 山本さんは、笏谷石を愛好する友人から提案を受け、細粒化して別の製品にアップサイクルする事業を発案。設備業のつてで不要になった2トン前後の笏谷石を譲り受け、個人事業で開発に取りかかった。 「笏谷和紙」は、越前和紙の滝製紙所(越前市大滝町)の協力で試作品が完成した。直径1.2ミリ以下に砕かれた笏谷石が楮(こうぞ)を原料にした手漉きの和紙に均一にちりばめられ、石の質感や独特の青みが表現されている。同県大野市の民泊宿で試験施工された障子は、光の加減で色合いが変化する様子が見られるという。 ほかにも、ふすま紙やランプシェード、ポストカードなどへの活用を想定しており、山本さんは「笏谷石と越前和紙はどちらも1500年以上の歴史がある。誰もが気軽に日常でふるさと福井を感じられる製品として広めていきたい」としている。粉状の笏谷石を塗料や樹脂に混ぜ合わせるなどした新たな製品の開発も探っていく考え。 CFサイト「レディーフォー」で寄付を受け付けている。目標金額100万円。石材の粉砕機や作業場の整備費の一部に充てる。福井県のふるさと納税制度を活用したCFで、5千円から受け付け、税控除により実質2千円の負担で支援ができる。県外向けの返礼品として、額入りや大判の笏谷和紙、キャンバスとして使える笏谷石プレートなどを用意している。
福井新聞社