英国で住宅ローンの延滞急増、MBSのキャッシュフローを圧迫の恐れ
(ブルームバーグ): 住宅ローン担保証券(MBS)に組み入れられたローンを抱える高リスクの英国の住宅購入者について、返済能力に「著しい不透明性」があるとフィッチ・レーティングスは指摘した。固定金利期間の終了時に、借入金利の大幅な上昇に直面するためだ。
住宅ローン金利の急激な上昇で、期日に予定の全額を支払うことができない債務者は既に急増している。フィッチが注目する、高リスクの居住用住宅ローンを対象とする指数によると、1カ月以上の返済延滞は2021年12月から24年11月の間で11.1ポイント上昇して24.2%に達した。3カ月以上の延滞は8.6ポイント上昇の17.7%となった。
「金利の衝撃に耐えられていないという事実は、借り手の家計の弱さを浮き彫りにする」とフィッチはリポートで分析した。
こうした高リスクの住宅ローンは、条件が現在と比べ比較的緩やかだった2014年以前に組成され、金利のみの返済や自己申告による所得確認、高い融資比率などの特徴を持つものも多い。債務者が期日に返済できず延滞が増えれば、将来的にMBSのキャッシュフローに圧力がかかる恐れもある。
一部の住宅ローン・プールは既に、加重平均利回りが示唆する収入を最大20%下回っていると、フィッチはリポートで指摘した。
今のところ債権回収会社は支払い延滞の債務者に緩い対応をとっており、差し押さえの実行は債務者が交渉に応じない場合に限っている。
延滞件数増加の理由の一つとして、22年と23年に大量の繰り上げ返済があったこともフィッチは挙げ、「借り換えや返済が可能な債務者は、既にそうしたことが示唆される」との見解を示した。その結果、プールの大部分を返済能力の比較的低い債務者が占めるようになったという。
原題:Risky UK Mortgage Bonds Face Cash Flow Pressure as Arrears Soar(抜粋)
(c)2025 Bloomberg L.P.
Neil Callanan