年内に商品・サービスを値上げ、7割を超す 「過剰債務」企業は26.0%、「返済に懸念」は16.4%
Q7.Q6で「ある」と回答された方に伺います。私的整理を検討する上で重視することは何ですか?(複数回答)
◇「事業への影響」が最多 Q6で「ある」を選択した企業のうち、210社から回答を得た。 最多は「現在の事業や取引に影響を与えないこと」の74.2%(156社)だった。 以下、「手続きに多額の費用を要しないこと」の55.7%(117社)、「手続きの開始から終了までが簡潔で長期間を要しないこと」の51.9%(109社)などと続く。 「法的整理の要件である経済的な窮境に陥る前に手続きを開始できること」は、40.9%(86社)だった。 規模別では、「現在の事業や取引に影響を与えないこと」は、大企業(資本金1億円以上)が66.6%(9社中、6社)であるのに対して、中小企業は74.6%(201社中、150社)に達し、10ポイント近く差が開いた。 「その他」では、「経営の安定化を従来より考えており、変化を恐れない」(不動産賃貸業、資本金1億円未満)などの声があった。 ◇ ◇ ◇ 今年度(2024年度)の業績予想は、「増収」が39.9%に達したが、「増益」は32.7%にとどまった。自社の商品・サービスの値上げに踏み切る企業は74.8%に及び、収益確保にはコスト削減だけではカバーしきれないほど物価や人件費の上昇幅が大きいことを物語る。 企業物価も含めて緩やかなインフレ基調が続くが、「売上横這い」、または「減収」を見込む企業は合計60.0%と半数を超える。内需や既存取引先に売上の軸足を置いていたり、人的リソースや資金的な問題から新商品・サービスの展開が難しい企業は、売上増の機会を喪失している可能性もある。企業支援はバランスシートや収益力の改善だけにとどまらず、トップライン(売上高)への着目も大切だ。 また、「過剰債務」を訴える企業は26.0%にのぼった。このうち、債務が障害となって事業再構築への取り組みが難しかったり、規模縮小を余儀なくされている企業は36.9%に達する。将来に対する投資の遅れが企業価値の毀損を招き、稼ぐ力が急速にしぼむ恐れもある。 さらに、事業再構築の意向がない企業も25.7%と4分の1を超えた。すべての企業がゴーイングコンサーン(将来にわたる事業継続)を望むわけではない。だが、過剰債務に陥った企業が抜本策に着手しない意図を見極め、企業ごとに細やかなオーダーメイドの対応も求められる。
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