シャープ、2年ぶり営業黒字--事業譲渡などのアセットライト化も進展
シャープは11月12日、2024年度上期(2024年4~9月)の連結業績を発表した。売上高は対前年比5.3%減の1兆964億円、営業利益は同58億円の赤字から4億円の黒字、経常利益は同51.6%減の14億円となった。 デバイス事業は減収となったが、構造改革の効果があり、営業赤字を大幅に縮小。全社トータルで、売上高は減少したが、営業利益が改善し、2022年度上期以来の黒字を達成した。 スマートフォンやPC、タブレット向けのパネルなどを持つディスプレイデバイスとセンサーモジュールや半導体レーザーなどを手掛けるエレクトロニックデバイスは、売上高が同27.3%減の2058億円、営業利益は同99億円の赤字から48億円改善し、51億円と赤字幅を縮小した。 代表取締役 社長執行役員 兼 最高経営責任者(CEO)の沖津雅浩氏は「構造改革によるコストダウンや経費削減を進めたことに加え、一過性の収益が発生したこともあり、増益となった。ディスプレイデバイスは、スマートフォンやPC、タブレット向けのディスプレイと堺ディスプレイプロダクト(SDP)での生産を停止した大型ディスプレイが減収となったが、営業利益については、前年同期の123億円の赤字に対し、47億円改善し、76億円の赤字と大幅に縮小した。エレクトリックデバイスは、新規受注を獲得した加工用や2024年に量産を開始した車載用の半導体レーザーが大きく伸長した」と詳細を説明した。 シャープでは、2024年の重点取り組みとしてアセットライト化を推進中だ。カメラモジュール事業と半導体事業を台湾の鴻海精密工業に譲渡すること、SDP液晶工場と関連施設を持つ「グリーンフロント堺」をソフトバンク、KDDIの2社に譲渡することの2つを進めている。 「カメラモジュールと半導体については、第3四半期での譲渡契約の締結と第4四半期でのクロージングに向け鴻海と最終協議中だ。グリーンフロント堺については、ソフトバンクと2024年度中の土地建物譲渡契約締結に向けて最終協議に入っている。KDDIについては、2025年度中のAIデータセンターの本格稼働に合わせ、諸条件について協議している」(沖津氏)と現状を話した。 グリーンフロント堺については、2社との協議のほかにもいくつかの報道が出ているが、それらについては「発表していないことについては、コメントを控える」(沖津氏)とし、明言を避けた。 このほか、PC事業やマルチ複合機(MFP)などを持つスマートオフィスは、インフォメーションディスプレイが好調だったこと、MFPが伸長したことなどから増収増益。PC事業では法人向けのプレミアムモデルが好評で、法人向けの売り上げが大きく伸びたという。 MFP市場の今後について質問が飛ぶと「MFPの需要が徐々に減っているのは確か。その中で、私たちはハード売りではないソリューションを強化していきたい。欧米におけるソリューションに強いIT関連企業の買収などもこれから増やしていく。加えて、倉庫内における搬送ロボットなどのロボティクス、駐車場におけるカメラでの管理など、新たなビジネスも展開していく。これにより落ち込み分をカバーしていく」(沖津氏)と戦略を明かした。