「オーバーツーリズム」克服できる?ぎゅうぎゅう詰めのバス、あふれるゴミ、各地の取り組みは? 観光立国目指す日本「外国人に来てもらわなあかん」
電車に乗れば、大きな荷物を持った観光客が楽しげに話している。観光地に降り立てば、日本人も訪日客もごった返していて、気後れしてしまうほど。 急増外国人ウーバー配達員の危うい現状 コロナで追い風の裏側
「観光立国」を掲げる日本。2023年の訪日客は、12月だけ見るとコロナ禍前を上回り過去最高を記録した。 悲願だった観光地のにぎわい復活…のはずなのに、観光客が押し寄せて住民の生活に悪影響を及ぼす「オーバーツーリズム」の問題を耳にする機会が増えた。 一体何が起こっているのか?共同通信の取材班が各地を訪れると、地域や住民が観光と共存を図ろうと奮闘する姿が見えてきた。(共同通信 オーバーツーリズム問題取材班) ▽なくならない行列、たどり着けない座席 2月中旬、京都駅から清水寺方面に向かうバスの停留所には長蛇の列ができていた。大きなスーツケースを持つ人やスマートフォンを片手に行き先を調べる家族連れが並ぶ。バス1台には乗りきれない人数で、バスは時間を空けず発着を繰り替えしていたが列はいっこうに無くならなかった。 ようやく乗車しても、ぎゅうぎゅう詰めでドアはスムーズに開かない。乗車した高齢の女性は座席までたどり着けず、買い物の荷物を乗降口近くの手すりに乗せてバスに揺られていた。途中の停留所では、乗車を諦めてバスを見送る人もいた。
京都は訪日客からの人気も高く、2022年には延べ6600万人以上が訪れた。観光客が押し寄せることで、地元住民が公共交通機関を利用できないこともあるという。 京都市などは、混雑の緩和に向けてさまざまな対策に乗り出した。京都駅前のバスターミナルには、地下鉄の利用を促すため、どの駅が観光名所に近いかを書いた張り紙などを掲示している。大荷物を抱えて観光地を回らないで済むように、京都駅とホテルの間でスーツケースを代行して運ぶ「手ぶら観光」のサービスを開始。各観光地の混雑状況や混雑予報をまとめたデジタルマップをホームページ上で公開している。 ▽「汚い場所に人は来ない」ハイテクで改善 グリコの看板で有名な大阪・道頓堀では、観光客数が回復するにつれて大量のポイ捨てが再び発生し、ベンチや街角にごみがあふれた。2025年4月には大阪・関西万博の開幕も控える。対策としてごみを箱の中で5分の1に圧縮する「スマートごみ箱」を10カ所に設けた。回収の回数も少なく抑えられ、設置後はごみの散乱がほとんど見られなくなったという。 道頓堀商店会の谷内光拾事務局長は「汚い場所には人は来ない。きれいな街はその最低条件」と訴える。