「オーバーツーリズム」克服できる?ぎゅうぎゅう詰めのバス、あふれるゴミ、各地の取り組みは? 観光立国目指す日本「外国人に来てもらわなあかん」
観光協会の佐藤守専務理事は「渋滞や混雑で満足度が下がってしまうのはもったいない。この時間に来ればすいているのにと思うことも多い。デジタルマップをうまく活用してほしい」 ▽どんなに観光客が訪れても「オーバー」と言われにくい都市に オーバーツーリズムは、日本では「観光公害」と強い言葉で訳されることもある。国連世界観光機関(UNWTO)は2018年の報告書で「観光地やその観光地に暮らす住民の生活の質、および/あるいは訪れる旅行者の体験の質に対して、観光が過度に与えるネガティブな影響」と定義しているが、実は「どの程度の観光客が来たらオーバーツーリズムだ」といった定量的な指標は存在していない。 もともと観光地ではない場所や、交通インフラが整っていない場所に急激に観光客が押し寄せ、混雑や渋滞、ごみの投棄などのマナー違反が発生し、住民が観光に対して否定的な感情を抱く…こうしたことでオーバーツーリズムの問題は起きる。だから、公共交通機関や宿泊・商業施設などが整備された東京は、大勢の観光客が訪れても「オーバーツーリズムだ」とは言われにくい。その地域の受け入れ態勢が整っているか、住民が観光に対してどう考えているか、といったことが非常に重要になる。
▽「来てもらわなあかん」切実な声 そして実際に取材を進め、耳にしたのは「観光客にはもっと来てほしい」という地域の切実な声だった。政府関係者も「オーバーツーリズムの問題を訴えることで、その地域に観光客が来てほしくないと思われるのではないかと懸念している地域もある。実際には局所的な集中が問題なだけの場合がほとんどだ」と指摘する。 大阪・道頓堀商店会の谷内事務局長は強調する。「外国人に観光に来てもらわなあかん」 × × 共同通信では、各地の現状と対策をまとめたウェブコンテンツ「観光の現在地、オーバーツーリズムを超えてゆけ」を各地方紙のデジタル版向けに配信しています。多くの動画、写真を見ながら、持続可能な観光について考えることができます。次の観光はどこに行こうか迷っているあなたも、ぜひ検索してみてください。