「オーバーツーリズム」克服できる?ぎゅうぎゅう詰めのバス、あふれるゴミ、各地の取り組みは? 観光立国目指す日本「外国人に来てもらわなあかん」
▽「バズり」への対策は? 東京駅から電車に乗って約1時間。羽田空港や横浜からもアクセスがよく、国内外から多くの人が観光に訪れる鎌倉。特に最近は、人気漫画「スラムダンク」が原作で、アジア全域で大ヒットしたアニメ映画「THE FIRST SLAM DUNK」の聖地としても有名になった。 映画のオープニングで登場する江ノ島電鉄・鎌倉高校前駅近くの踏切では、同じ構図で写真を撮ろうと車道に身を乗り出す人も多い。こうした写真が交流サイト(SNS)でバズり、さらに人を呼び込む事態となっている。この駅は無人で、周囲には住宅地が広がる。本来は観光スポットではない場所に人が集中し、路上駐車やごみのポイ捨てなどのマナー違反も目立った。 こうした事態に対応しようと、観光課に「オーバーツーリズム担当」を設置していた鎌倉市は2024年度、観光協会のホームページで展開している混雑マップの対応場所を増やし、混雑状況の将来予測も導入する。観光客が滞留しやすい鎌倉駅前には、ガイドを配置して混雑を避けられるルートを紹介するなどの対応を強化していくという。ただ「観光客に来てほしくないというつもりは全くない」という。観光客の分散による混雑緩和に注力を続ける。
▽問題は「観光客が来ることではない」 全国屈指の温泉リゾートとして知られる箱根は、富士山などの絶景が望める芦ノ湖や、火口から噴煙が立ちこめる大涌谷、美術館や寺社・仏閣など、バラエティーに富んだ観光スポットがあるのが魅力だ。都心から近く、休日にふらりと車で訪れる人も多い。 一方で、人気の観光スポットへ向かう主要道路が限られていることや道幅が狭いこと、観光客の来訪が一部のエリアや時間帯に集中していることなどが原因で、交通渋滞や店舗の混雑が頻繁に発生。箱根町観光協会が旅行者に対して行ったアンケートでも「交通渋滞」や「公共交通の混雑」が不満の上位に並ぶ。 「問題は観光客が来ることではなく、一極集中」だ。こう考えた観光協会は「箱根観光デジタルマップ」を作成した。道路や飲食店、駐車場の混雑状況などをスマートフォンなどの地図に表示。混雑していないエリアの飲食店で使えるクーポンも発行する。観光客をすいている時間帯やエリアに誘導することで混雑緩和を図るというもので、2023年11月に試験運用を始め、順次機能を拡張している。