年末年始にやっておきたい新旧【NISA】の見直し、適切なメンテナンスをする方法
資産のリバランス
全体が俯瞰できたら、資産全体の「リバランス」をします。普通預金は普段の生活に必要なお金を置く場所ですから、日常生活費の3ヶ月くらいあれば充分でしょう。「なにかあったときに」と全財産をすべて普通預金に置いておく人もいますが、合理的とはいえません。 次に今後5年以内にまとまったお金を使うライフイベントがないのか考えてみます。お子さんの受験、住宅に関する支出、家族での旅行など、いつ、いくらお金が必要になるのかを記載します。 支出する金額とタイミングが分ったうえで、適切な金融商品をセレクトします。ネット銀行の定期預金、個人向け国債は、中期的な目的のお金を置いておく場所として適切です。 5年以上先の目的については、NISAを用いて積立てていきます。そして老後資金はiDeCoを用いて積立てていきます。年に1回ご自身のお金を整理することで、予定通り資金が増えているのか、もう少し積立に回せるお金がないかをチェックします。ねんきん定期便を見ながら、公的年金の状態も確認したうえで、投資の目的が適切かまで考えられると理想的です。 最後に暮らしを守るお金も見直します。現在の我が家のリスクに見合った保険なのか、一覧にして確認しましょう。特に家族が増えた、転職したときなどは、国からの保障も変化しているのでそれに合わせた民間保険の手当が必要になります。万が一の事態に遭遇すると、予定通りの資産形成もできなくなるので、やはり適切な保険で備えることも大切です。
投資商品のおさらいをする
さらに投資している商品のこれまでの値動きをおさらいしましょう。可能であれば運用会社などのウェブサイトに掲載されている運用報告書や月報といったものを遡って読んでみるのがお勧めです。8月の市場の混乱時にはどのような情報が掲載されていますか? 今年はいくつか選挙も行われましたが、それらの社会的イベントに関するコメントなどはありますか? よくお客様から、「商品は入れ替えた方が良いのか?」と質問されることも多いのですが、積立の額の変更はしても商品の変更は頻繁に行わなくても良いと考えます。 しかし、ご自身の投資に対する考えが変ったときは商品の入れ替えも必要でしょう。例えば、「とりあえずオルカン」を購入してきたけれど、その後いろいろ学んだら他の投資先にも投資したいと考えるようになったというお話はご相談を受ける際によく聞きます。 例えば、MSCIをベンチマークとするインデックスファンドは世界の主立った株式会社すべてに投資をしているわけですが、中には戦争に用いられる物をつくったり環境にマイナスの影響を与える物を販売したりしている会社もあるといわれているので、もっと投資先を吟味したいとアクティブ運用の投資信託を検討したいなどという意向です。 あるいは、オルカンの投資信託はアメリカへの投資割合が50%程度と集中するので、ご自身の興味関心がある新興国に投資をする投資信託を追加でつみたて購入したいなどというお話もあります。オルカンのようにひとつのファンドで世界中に投資をする投資信託は便利ですが、投資先の比率を変更したい場合は別のファンドを追加投資することで全体の投資比率を調整しなければならないので、ご自身の方針が変った場合は全体としての見直しも必要です。 長期投資は「ほったらかし」でも良いといわれることが多いですが、それは市場の動きに一喜一憂しないという意味でほったらかしにしておいてということだと考えます。やはり適時ご自身のお金事情は確認しながら適切なメンテナンスは行っていきましょう。
山中 伸枝(ファイナンシャルプランナー)