株式の「転売ヤー」が吊り上げた株価や転売益は企業の本質的な価値などではない!
「素晴らしい企業をそこそこの値段」で買うべき
そのマンガーから教わったのが「そこそこの企業を安値で買うのではなく、素晴らしい企業をそこそこの値段で買うべき」ということだ。 これが「現在のバフェット流」の核心である(「バフェット流の変遷」については、「大原浩の逆説チャンネル<第65回>バフェット流は変化する (バフェットの真髄・特別版その2)」などを参照いただきたい)。 「転売」を目的としないから、「(市場)価格だけを必死に追いかける」必要は全くない。「成長力」を含む企業の「本質的価値」に対して投資をするから、「価格よりも(企業の)『品質』」が大事なのだ。 いくら価格が安くても「粗悪品」の企業では(長期的成長が望めないから)、バフェットの投資対象ではない。あくまで、長期的に発展が望める「優良品」にしか投資をしないのである。 だからこそ、「粗悪品」と「優良品」を見分けるための勉強・研究を行うためにZAKZAK 5月31日拙稿「親友のビル・ゲイツも驚いたバフェットの一日 先人のお知恵拝借『足の生えた本』になれ」のような努力を、90歳を超えた現在でも続けている。
どうせ投資をするなら産業の発展に貢献したい
FXや株式のデイ・トレーダーと呼ばれる人々による「転売」も立派な経済活動の一つであり、「市場の調整役」として無視できない存在だ。 だが、それでもマスクや消毒液などのケースと同様に、「転売行為が『国富』を増やすわけではない」ということは同じだ。あくまで(市場の)「潤滑油」である。そして、その行為が、企業に「成長資金」を供給するという株式制度本来の目的から逸脱していることは否定できない。 例えば、バブル期の不動産価格高騰も、「転売ヤー」によって引き起こされたといえよう。不動産業者が集結した銀座のあるクラブで、隣のテーブルから隣のテーブルへと次々転売された結果、一晩で土地の値段が数十%も上昇したなどという逸話が伝わるほどだ。 もちろん、土地の価格もバフェット流で考えれば、「本質的価値」=「土地の使用(活用)価値」からかけ離れたものになるべきではないということである。 不動産開発によって、住宅や建物が増えることによって「国富」は増える。同様に企業の成長によっても「国富」が増えるのである。 国富が増えることの重要性は、アダム・スミスの「国富論」(筆者書評)を持ち出すまでもなく明らかだ。