【旧車高騰の背景を見たり?】足を運んだファンは過去最大の1万2500人! 全米最大のJDMイベント
今年新たに加わった「JDM部門」とは?
JCCSでは今年から新たに加わったルールがあるとのこと。テリー山口さんに詳しく聞いてみた。 「今年アップデートしたのは、アワードの『JDM部門』です。近年、25年ルールで入ってくる右ハンドルの日本車が増えたため、今まであったJDM部門の審査対象が、『日本にしか存在してこなかったモデル』になりました。 例えば、右ハンドル仕様でも、フェアレディZやカローラなどアメリカでも新車時から販売されていたクルマは対象外です。マツダ・コスモや日産セドリックなどアメリカでは販売されてこなかったモデルが『JDM部門』の対象となります」 JDMとはそもそも『Japanese Domestic Market』の略称で、直訳すると『日本国内市場(専用車両)』という意味となり、海外(アメリカ)での新車販売がなかったクルマを意味する。本来のJDMの意味から考えればJCCSにおける『JDM』の解釈も納得がいくものだ。 実際、製造から25年が経過してアメリカへの輸入が可能になった『25年ルール』適用のクルマをJDMと呼ぶことが多いし、さらに最近ではアメリカで新車販売されているクルマであってもお構いなしに、日本車=JDMとして扱うこともある。 ちなみに、クルマそのもの以外に日本独特の装備や仕様、パーツのことをJDMと呼ぶこともある。例えば、オレンジ色のリアウィンカー(アメリカで販売されるクルマは後ろのウィンカーは赤が主流)や、水中花シフトノブ、小径ハンドル&ホイール、はたまた赤斜線の『仮ナンバー』でさえも、アメリカでは『JDM』として非常に高い人気がある。
大切に愛されてきた旧車かどうか? 写真でチェックする
車種や年式以外にもJCCSに出展できるかどうか、もうひとつ重要なルールがある。それは出展申し込み時の「写真判定」である。愛車の写真を申し込み時に送って審査にパスしないことにはJCCSの会場に展示することはできないのだ。 「JCCSではすべての車両に関して写真判定を行います。判断基準はその旧車に愛があるかどうか? つまり大切に正しく維持されてきているか? ということを指定の角度で撮ってもらった写真で確認します。 安く入手したボロ車やぶつけたまま修理されていない旧車は当然お断りです。また、近年はキレイに仕上げているクルマであっても、車両に負荷がかかっていてもとに戻すことも難しいようなヘビーなカスタムをする若者が増えています。 最近はやりつつある暴走族仕様のカスタムなども旧車の生命を短くしてしまうのでNGです。貴重な旧車の生命が終わってしまうようなヘビーなカスタムを施した車両はいずれも出展不可となります。JCCSでは、『プリザベーション』(貴重な旧車を正しく保存していく)というモットーに反するクルマは写真判定で落とします」 なるほど。JCCSの厳格と思えるルールも、実は末永く旧車を維持していくためには大切なことであり、JCCSの運営陣はいずれもみなさん、オーナー同様に濃い旧車愛を持っているのだ。 もう二度と手に入らない日本の旧車たちが海を渡り、アメリカで多くの人に愛され大切に維持されていることには深い感動を覚える。来年も再来年も、10年後も20年後もJCCSという素晴らしいイベントが末永く続いてくれることを願わずにはいられない。
加藤久美子(執筆) AUTOCAR JAPAN(編集)