日本ハム・JA全農 畜産業の持続的発展で連携 連携の土台にサスティナビリティ
食肉業界をリードする2組織が連携し畜産業の持続可能な道筋を構築する。 7月9日、日本ハムと全国農業協同組合連合会(以下JA全農)は、「日本の畜産業の持続的発展に貢献」(日本ハム・井川伸久社長)を趣旨とした包括的事業連携に合意した。食肉業界を取り巻く生産人口減少、生産原価高騰、円安問題、輸入原料コスト高、社会・環境問題など各課題に対し、国内外で両社の強みを生かし、かつ弱みを補完し合い、次世代畜産業モデル確立、畜産たんぱく質の安定供給などをテーマに取り組む。 食肉業界を取り巻く環境は、前述した課題が山積しており、かつ円安問題も重なり「課題は多岐にわたり、年々厳しさが増している」(同)のが実情だ。そこで、課題を共有する両社は昨年6月からプロジェクトを発足させた。JA全農の桑田義文代表理事専務も「主に消費者側の日本ハム、生産者側のJA全農の連携は大きな意義を持つ」とした。 両社の取り組みについて「すべての土台にサスティナビリティの追求を置いている」(前田文男日本ハム専務食肉本部長)とし、共創・連携では「処理場施設活用」「生産」「共同配送」「海外輸出」「商品開発」などに取り組み、その土台となるサスティナビリティの追求は「アニマルウェルフェア」「畜産分野での共同研究」「カーボンニュートラル農場基準作り」「脱プラスティック」「糞尿・メタンのエネルギー化」「畜肉由来素材活用」「国産飼料自給率向上」などの項目に取り組むことで業界の持続的発展に貢献し、消費者に畜肉たんぱく質を供給する持続可能な社会を目指す。 共創プロジェクトの具体的事例では、JA全農系列の高崎ハムの商品を日本ハムの加工品の物流ですでに共同配送しており、今後は今年9月以降に、高崎ハムで日本ハムのロースハムなどの委託製造を開始する。 また、スマート養豚の推進では、日本ハムが有するAIを活用して生産性向上や労働負荷軽減などを可能とする技術「PIG LABO」を、JAの全国養豚施設などへの活用を図っていく。