“再出発”の藤波清斗、予選アタックと鬼ブロックで魅せた! プライベーターTEAM MACH勝たせるべく鼻息は荒い「また一花咲かせたい」
スーパーGT開幕戦岡山のレース終盤、バックストレートで8台連なったGT300の隊列――。その先頭6番手に立っていたのは、昨年GT300で無得点に終わったTEAM MACHの5号車マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号。ドライバーは藤波清斗だった。 【リザルト】スーパーGT開幕戦岡山:決勝結果 藤波は2020年と2022年にKONDO RACINGで2度のGT300タイトルを獲得。GT500昇格も間近かと思われていたが、身辺でトラブルがあったようで、2023年はスーパーGTのシートを失うことになった。ただそのトラブルに関しても不起訴処分になったと各所で報じられており、2024年は心機一転、TEAM MACHで再出発を図ることになった。 NISMOからのサポートを受ける強力体制のKONDO RACINGとは違い、TEAM MACHはマザーシャシー(GT300MC規定車両)の86 MCを使うプライベートチームであり、同チームは2022年の第3戦で2位に入って以来、入賞を記録できていない。そのため藤波にとっても真価が問われる体制と言えたが、彼は開幕戦から魅せた。 藤波は予選Q1 B組で1分26秒652をマークして8番手に入り、上位グリッドを決めるQ2の“アッパー16”に進出。そこで今年がフル参戦初年度となる相方の塩津佑介が食らい付き1分26秒939を刻んで12番手タイムをマークしたことで、5号車は合算タイムで9番手。シングルグリッドを確保するに至った。 そして決勝に向けては「タイヤを交換したら勝ち目はない」との考えからタイヤ無交換作戦を決行。塩津が23周を走って藤波に交代すると、藤波は50周のロングスティントに向かうことになった。 タイヤ交換の作業時間をカットできた分、コース上でのポジションを上げた5号車は6番手を走行していたが、予選Q1から使っているタイヤでは苦しく、後続に渋滞を作ることになった。レース終盤には13番手の56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rまで計8台の隊列になったが、藤波は巧みにブロックラインを取り抑え込んだ。 ただそのブロックにも限界があり、藤波は1台、また1台とパスされる格好に。その中で61号車SUBARU BRZ R&D SPORTとのバトルになったが、そこで藤波は61号車にホッブスコーナーで追突される形となり、スピン。これにより勝負権を失ってしまった。 レース後のパドックでは、悔しそうな表情を浮かべてチームメンバーひとりひとりに謝っていた藤波。「今シーズンまたスーパーGTに戻るチャンスいただけて、心機一転気持ちを入れ替えて岡山に挑んできた」ということもあり、相当な意気込みだったようだ。 「まさか予選でここまで良いとは思いませんでした」と藤波はレースを振り返る。 「決勝ではうまくいけば上位を狙えるのかなと思いましたけど、タイヤも辛くなってきました。簡単にいかせたくなかったですし、なんとか持ち堪えようと粘っていたんですけど、接触がありました」 「そこに関しては仕方ないですし、レースなので何も思っていません。僕だってそういう場面もあると思うので」 「でも、とにかく見せ場は作れたと思っています」 スーパーGTのシートを失った状態から手を差し伸べてくれたTEAM MACH、そして玉中哲二代表への感謝を述べる藤波。その恩に報いるためにも、そして再びレーシングドライバーとしての自らの価値を誇示するためにも、今年は何としても優勝したいと語った。 「このチームは2位まで獲ったことがあるので、勝ちにこだわっています。その1勝は玉中社長にプレゼントしたいです。今回もトップ2台は無理でしたけど、表彰台くらいはいけるかなという感触がありました。まずは第一段階のチャンスが現れたと思っています。 「今シーズン、絶対に1勝したいです。こういう場に戻してもらったので、なんとか爪痕を残して、チームのためにも結果を残したいです」 「もちろん苦しいとは思いますが、自分が入ったことによって行けるようになった……ということを見せたいですし、それを評価してくれる方がいて、次に繋がればいいと思っています」 「また1からのスタートで、一昨年までのこと(実績)はもうチャラなので。また取り返して一花咲かせたい……そういう気持ちで意気込んでいます」
戎井健一郎
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