ウクライナ、穀物輸出でシリアを支援方針 外相訪問、ロシアの影響力排除狙う
【カイロ=佐藤貴生】ウクライナのシビハ外相は12月30日、アサド前政権が崩壊したシリアの首都ダマスカスを訪問して暫定政府のシェイバニ外相らと会談した。ウクライナは穀物を送ってシリアの復興を支援する方針で、シェイバニ氏もウクライナと戦略的パートナーシップを結びたいと抱負を述べ、ともに関係強化に前向きな姿勢を示した。 ロイター通信が伝えた。ウクライナへの侵略を続けるロシアはアサド前政権を支援してきた。ウクライナにすれば前政権崩壊はシリアからロシアの影響力を排除する好機と映る。一方の暫定政府は前政権の打倒に中心的役割を果たしたイスラム過激派「シリア解放機構(HTS)」が主体で、ロシアがシリアに持つ軍事基地の存続可否が焦点として浮上している。 シビハ氏は30日、HTSの出身で暫定政府を率いるアハマド・シャラア(通称ジャウラニ)氏とも会談し、今後も食料をシリアに送って支援すると述べた。ウクライナはすでにシリアに小麦粉を発送しており、31日にも到着する見通し。 一方、ロイターによるとアサド前政権時代のシリアに穀物を輸出していたロシアは、シリアの政権の将来像が不透明で支払いも遅れているとして、供給をストップしたもようだ。