新NISAの次のステージへ、魅力的なアクティブファンドにも活躍期待
このような日本株式の変化は、海外の投資家の間でも共有され、海外投資家の日本株の積極的な買い増しが目立ってきている。ただ、その買い越し額の水準は、「アベノミクス当時と比べて半分以下にとどまっている」とし、「日本株を再評価する海外投資家の買いは今後も続くと見込まれる」と見通す。
同ファンドでは、投資先企業の選定において、「先行指標を活用した銘柄選定」を特徴としている。これは、決算資料や会社発表等のミクロ情報は、業績の変化に先行して変動するため、市場環境変化への早期の対応が可能になるという考え方に基づく。たとえば、企業の受注や受注残、あるいは、工場稼働率などの変化は、顧客の生産計画や在庫情報、競合他社の状況などと合わせて分析することによって、業績の変化を捉える材料になりえる。この変化を捉えて投資を開始することによって、その後に企業業績が向上し、その業績アップを材料に株価が上昇に向かうことを先回りすることが可能になるとしている。
実際に、この投資手法を活用したマザーファンドの運用は、2020年2月25日から運用実績があり、過去5年間(2020年は設定日から、2024年は4月末まで)で常に年間のパフォーマンスはTOPIX(東証株価指数)を上回る成績になった。2024年4月末までの設定来リターンは、同ファンドのマザーが126.2%増で、この期間のTOPIXの88.6%増を37.6%ポイントもアウトパフォームしている。
このような意欲的なアクティブファンドの提供は、今後、活発に行われると考えられる。今年1月にスタートした新NISAによって、若い世代を中心に新たに資産運用を始める投資家が増えているが、その投資手法は「低コストのインデックスファンドによる積み立て投資」が主流だ。積み立て投資の対象商品として人気が高い「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は信託報酬率が税込みで年0.05775%以内という超低コストだ。投資家にとって、運用にかかわるコストが低いことはメリットでしかないのだが、これを取り扱う金融機関にとっては収益になりづらい商品になっている。販売会社が受け取れる手数料は税抜きで年0.0175%であり、仮に、このファンドの販売残高が100億円あったとして、1年間で入る収入は175万円(月額約14.6万円)に過ぎない。販売残高が1億円であれば月額1460円足らずだ。