値上げ、物価高はどこ吹く風~74円均一で話題の激安王を大解剖
物価高に負けない~足立区スーパー、安さの秘密と商魂
資源高騰から物価高、値上げラッシュが止まらない。2023年は食料品だけでも3万品目以上が値上がりした(出典:帝国データバンク)。そんなご時世にどこ吹く風と、痛快に売りまくる東京・足立区の店がある。 【動画】ここだけ別世界!あらゆる商品が激安価格のスーパー
ディスカウントスーパー「ABS卸売センター」、通称「ゑびすや」には、平日の昼間だというのに大勢の人が押しかけ、熱気ムンムン。やがて始まったのが、客がセリ形式で商品を買うこの店の名物イベント「バカ値市」だ。
ある女性客が買ったのはラーメンや飲み物など82点、総額7000円。普通に買えば3万2000円相当になる。 この激安イベントを仕掛けるのが、ゑびすやを運営するゑびすや商店。足立区を中心に7店舗を展開する。 その特徴はなんと言っても安さ。ここだけ別世界のように、あらゆる商品が激安価格で並んでいる。
例えば都内のスーパーの相場では200円を超えるレタスがここでは105円。ほうれん草も相場の半値程の84円だ。500ミリリットルのミネラルウォーターは1本41円、参考価格418円のスパゲッティは73円だ。 さらに日用品や食料品が税別68円、税込み74円均一で売っている人気の売り場も。 「ゑびすや」は激安一本勝負で近隣住民の心をガッチリと掴んでいるのだ。 最高顧問・唐鎌秀貢(85)がゑびすや商店を起こしたのは1965年。その後、激安を武器に成長を続け、現在の売り上げは55億円(2022年)に達する。 店内は雑然としているが、ここにもこだわりがある。 「宝島的要素もあって、掘り出し物を探す喜びや楽しみがある。ディスカウントストアの元祖みたいな並べ方だな」(秀貢) 狭い空間にできるだけ多くの商品を詰め込み、あえて無秩序に並べる圧縮陳列。「ドン・キホーテ」が有名だが、秀貢は50年前からやっていた。 85歳にして今も店頭に立つ秀貢が頼りにしている存在が、20年前から社長を務める長男の孝行(61)だ。親子二人三脚で切り盛りしている。