値上げ、物価高はどこ吹く風~74円均一で話題の激安王を大解剖
庶民の強い味方「ゑびすや」~賞味期限間近の商品も売り切る!
これだけの激安価格をどうやって実現しているのか? 〇激安の理由1~賞味期限の迫った食品を大量買い付け 卸売業者「デリシャス&カンパニー」の水戸ひではるさんとの商談に取材許可が降りた。 大手のスーパーでは一袋378円で販売していたと言う「シリカフルーツゼリー(若翔)」。賞味期限が迫り、取引先のスーパーには卸せなくなり困って持ち込んだ。 これに対して秀貢が示した仕入れ値は一袋30円。水戸さんも啞然とするが、「どうだい1000箱ぐらい? これを68円コーナーで売る」と秀貢。水戸さんは1000箱と聞いて考え始め、結局、交渉成立。他店の販売価格の10分の1以下で買い付けてしまった。 「売れ残った商品を倉庫に寝かしといても赤字になる。売れないとどんどん負債が増えるから」(水戸さん) ゑびすや商店は賞味期限の迫った食品を大量に安く買い付け激安で販売している。在庫を大量に抱えても、約300坪の巨大な倉庫を二つ持っているから置き場所には困らない。 その倉庫には関西の業者から1000箱買い付けたカップ麺が積まれていた。 「メーカーさんの売れ残り品です。大量に残っているものを全部買うので特別に安くしていただきました。1000箱でも2000箱でも1万箱でも買います」(孝行) しかし、賞味期限が迫っている商品は客に敬遠されないのだろうか。客に聞くと「短かったら今日使ってしまえばいい」「1週間後に来ても売り切れている。『いつまでもあると思うな、ゑびすや商品』というフレーズがある」と言う。 店のスタッフは「この値段ならすぐ買ってくれる」というお客のリストを持っており、電話で直接セールスすることも。電話だけではなく、秀貢はラインもフル活用。「これで1~2時間の間にパーッと売れる」と言うのだ。
〇激安の理由2~ワケアリ商品や季節外れ商品も買い付け 前出「デリシャル&カンパニー」との商談では、長い間、倉庫に保管している間に劣化が進み、他店では売り物にならなくなってしまったと言う長靴も。ゑびすやはこんな品も買い取る。ECサイトでは1足5500円で販売していた商品だが、秀貢の指値は1足100円。これを「380円から580円で売る」と言う。 こちらも交渉成立、500足を一気に仕入れた。業者にとって、ゑびすやは今を乗り切るための数少ない選択肢になっている。 「保管費用が余分にかかっていました。買っていただくことで保管費用が現金になる。置いておいてもしょうがないので」(水戸さん) 店にはこうして買い付けたワケアリ商品があちこちに並べられている。 例えばそうめんは売れ残ったお中元ギフトを買いつけバラ売り中。花火は夏の売れ残りを秋に安く買い取った。訳ありだからこそ、驚くほどの激安が可能になるのだ。 「今までだったら卸業者さんが捨てていたかもしれないものを、もったいないので集めて売らせていただいています」(孝行)