ダルビッシュの苦言は正しいか。ソフト柳田の鶏肉&ゆで卵8個トレの是非
では、ダルビッシュの指摘は、間違いだったということなのか。 桑原氏は、こう続けた。 「ダルビッシュ選手が指摘したように炭水化物を摂らないと、エネルギー源を入れないということなので、DNAが反応して筋肉を分解しようという動きが起きます。ダルビッシュ選手の指摘は正しいのです。柳田選手のやっている食事制限を長期間続けるとなると、まさに筋肉を削っていることになります。 パフォーマンスをアップさせるためには、筋肉肥大が効果的ですが、体重を増やしても、実は筋肉は、簡単には増えずにミクロ単位で増えていくものですので、そのためには、炭水化物をしっかりと摂りながら長期的に筋量を増やすトレーニングを続けなければなりません。 また、体脂肪についても、ダルビッシュ選手が指摘した12パーセントという数字は、個人差があるので正解とは言えないのですが、野球選手の競技特性から考えると、あまり低くなるとスタミナが持たないという問題が生まれます。体脂肪には、エネルギー源の貯蔵庫の役割もあります。そして脂質は、細胞膜など、細胞の形成、各種ホルモンの元になっているものなので、体脂肪を落としすぎると、それらをうまく形成できずに体調、コンディションを維持できないという問題にもつながります。ダルビッシュ選手の言う弊害が出るというのも正しいのです。 彼の豊富で正しい知識には驚かされますが、柳田選手が、ちゃんとした指導の下、短期間の肉体改造に乗り出しているのならば、体脂肪もそこまで落ちませんし、影響はないでしょう。つまりダルビッシュ選手の提言も、柳田選手の取り組みも、どちらも、やり方次第では正解なのです」 今オフには、日本ハムの大谷翔平や阪神の藤浪晋太郎、楽天の則本昂大らが、次々とダルビッシュの元を訪問、合同トレでトレーニング手法や食事の仕方などの教えを請うた。その正確で高度な知識と、実体験で検証しているトレーニング手法は、専門家さえ、驚愕させるほどの高いレベルにあるのである。今回の柳田の食事制限を巡っての論争も然り。ダルビッシュが、トレーニングについては、まだまだ不毛の地とも言える日本のプロ野球界に新しい風を吹き込んでいることだけは間違いない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)