“炎上”や“損害賠償請求”の可能性も…「SNSに他者が映った写真・動画を投稿したい」→後のトラブルから守ってくれる「肖像権使用同意書」とは?【弁護士が解説】
肖像権使用同意書を作成する際のポイント
肖像権使用同意書は、どのような点に注意して作成すればよいのでしょうか? 最後に、肖像権使用同意書を作成するポイントについて解説します。なお、最適な肖像権使用同意書の条項や内容は、肖像権を使用する目的や状況などによって異なります。自社の状況に合わせた肖像権使用同意書を作成したい場合は、弁護士へご相談ください。 使用目的 肖像権使用同意書には、その肖像の使用目的を明記します。後のトラブルを避けるためには、使用目的はできるだけ具体的に記載すべきでしょう。使用目的として想定されるのは、次の内容などです。 ・YouTubeチャンネル「〇〇」に掲載するため ・当社ホームページ、SNS(Instagram・Xなど)、チラシ・ポスター・パンフレットに掲載するため 使用目的が抽象的である場合は、後に「そのような目的では同意していない」などと主張され、トラブルとなるおそれがあります。 使用期間 肖像の使用期間に制限を設ける場合には、「同意書への承諾日から〇年間」などと期間を記載します。期間を定めず、「使用期間に制限は設けない」などとすることもあります。 使用料 肖像権使用同意書では、肖像権の使用料を記載します。無償とする場合は、「使用されたことによる金銭的対価を求めない」など、その旨を明記するとよいでしょう。使用料を支払う場合は、金額や支払期日、支払い方法を記載してください。後日支払う場合には、振込口座などの確認を忘れないよう注意しましょう。 権利の不行使 肖像権使用同意書では、権利の不行使について定めます。権利の不行使とは、肖像権の使用について損害賠償請求や差止請求、プライバシー権やパブリシティ権などの人格権の行使などを行わない旨を確認する規定です。 また、撮影した写真や動画のデータ、その写真を印刷したものなどを引き渡さない場合には、その旨も明記しておくとよいでしょう。
後のトラブルを避けるために
肖像権使用同意書の概要や作成のポイントなどを解説しました。 他者の肖像権を侵害すると、差止請求や損害賠償請求の対象となる可能性があります。また、SNSなどで「炎上」し、企業イメージが低下するおそれも否定できません。 そのような事態を避けるため、他者の肖像をSNSやホームページ、印刷物などに掲載しようとする際は、あらかじめ肖像権使用同意書を取り付けておきましょう。使用目的や権利の不行使などを記した肖像権使用同意書を取り付けておくことで、肖像権にまつわる後のトラブルを避けやすくなります。 <参考> ※デジタルアーカイブ学会:肖像権ガイドライン Authense 法律事務所
弁護士法人 Authense 法律事務所