米紙が報じる「生き残り」をかけて外国人労働者を雇う日本の老舗企業
バックグラウンドに関係ない昇進
ひざつき製菓と外国人労働者との関係がはじまったのは、2020年のことだ。それまで20年にわたり社長を務めてきた膝附が、ベトナムからの移民労働者10人の雇用を決めた。 膝附はあるインタビューで、この新たな方針は日本人従業員たちのあいだに大きな動揺を引き起こしたと回想している。「私は彼らに言いました。『日本人を食わせていくために、我々は生き残らねばならない。我々が生き残るためには、外国人労働者を受け入れねばならない』と」 膝附いわく、彼はこの4年でベトナムやインドネシアから労働力を確保するため、さまざまな取り組みをしたという。現在ではこの2国出身の従業員が、全従業員210人中24人を占めるに至っている。 膝附は社の工場内に通訳を雇い入れ、社長自らが外国人従業員と直接やりとりできるようにした。また同社では、外国人従業員と日本人従業員の基本給を同額で毎年昇給させている。日本国内には、こうした方針を拒否する企業も多い。 膝附はいまから3~5年のうちに、非日本人従業員を副ラインマネージャー、さらにラインマネージャーへと昇格させることを計画している。これによって、他の外国人従業員に対し、日本でもキャリアアップの機会があることを示したいという考えだ。 社内の日本人従業員たちも、外国人の同僚と働くことに慣れてきたようだと膝附は語る。 膝附の新たな方針にかかる期待は切実だ。彼は今後2年以内に、自身の息子に事業を引き継いでもらうつもりでいる。膝附は、次世代では、同社の従業員の半分を外国人労働者でまかなわなければならないはずだと予測している。
River Akira Davis and Hisako Ueno