子どもが3人いても全員が大学無償化になるわけではない! キーワードは「扶養する子の数」……子どもの大学費用を考える時の注意点とは?
2025年度より政府は子どもが3人以上いる世帯について、大学の授業料などを所得制限なしで無償化する方針を発表しました。しかし、子ども3人全員が無償化になるわけではなく、注意すべき点もあります。多子世帯の大学授業料等無償化制度について解説します。 ▼「大学無償化制度」の対象者とは? 年収要件や注意点を解説
現行制度の支援内容
多子世帯の大学授業料等の支援は2024年度からすでに始まっています。2025年度からは所得制限が撤廃される点で大きな改正になりますが、まずは現行制度を確認しましょう。 現在、多子世帯については、中間所得層にも大学授業料等減免の支援が行われています。支援内容は、授業料・入学金の減免と給付型奨学金の支給がセットになったものです。扶養する子が3人以上、世帯収入の目安は600万円までの家庭が支援対象で、支給水準は下記のとおりです。 なお、扶養親族とは、住民税上の扶養親族を指します。年末調整や確定申告で扶養親族を申告しますが、その扶養している子が何人いるかで判断されるということです。16歳未満は扶養控除が適用されませんが、扶養控除が適用されているかどうかは判定には無関係です。
2025年度からの多子世帯支援
次に2025年度からの支援を確認しましょう。先にお伝えした2024年の多子世帯支援は存続するのはもちろん、2025年度からは同時に扶養される子が3人以上いる世帯について所得制限なしで授業料と入学金が減免されます。 減免額の授業料の上限は国公立大学54万円、私立大学70万円、入学金の上限は国公立大学28万円、私立大学26万円です。ただし、現行制度のように給付型奨学金とのセットではありません。 そして、ポイントは同時に扶養される子が3人いるという点です。例えば、大学生・高校生・中学生の3人の子がいるなら、扶養する子が3人いますから、大学生は支援対象となります。しかし、大学生が卒業し独立、親の扶養から外れると扶養する子は2人になりますから、2番目の高校生が大学生になっても支援対象にはなりません。 一方、大学4年生、大学1年生、高校生の3人きょうだいの場合、大学4年生と大学1年生は支援対象になり、大学4年生が卒業し、扶養から外れると大学生1年生だった子への支援は終了します。 なお、扶養している・していないに年齢は関係ありません。したがって、大学を卒業しても扶養されている状態であれば、「子」に含まれます。たとえば、1番目の子が大学院に進学して、下の2人が大学生なら、扶養している子は3人となり、下2人は支援対象となります。ただし、大学院の費用は支援対象外です。
今後の教育準備の計画はどうする?
子が3人以上いる家庭は、今回の改正で大学資金の準備額が大きく変わりそうです。しかし、留年すると本人への支援は打ち切り(扶養する子にはカウント)されますし、浪人すると予備校代等かかります。 また、1番上の子が大学生の時に2番目の子が高卒で就職すると、扶養する子は2人となり、1番上の子に対する支援は終わります。大学資金の目安額は約500万円ですが、全額を準備する必要はないとしても、少なくとも児童手当分は準備しておいたほうが安心でしょう。 執筆者:前田菜緒 FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
ファイナンシャルフィールド編集部