石井寛子が昨年経験した補欠として行って帰ったガールズグランプリ 酸いも甘いも知った今、新境地で頂上決戦に挑む
――そこでは結局、初日3着、2日目7着で3日目の決勝には行けませんでした。ただ賞金ランキングで6位が確定して、最終的にはガールズグランプリ出場権を手にしました。どんな気持ちでしたか。 出場が決まった瞬間はホッとしました。今年1年間で、応援してくれる方が増えているなと感じていましたので、「出場できる=恩返しできる」と思いました。ただ不思議な感情もありました。昨年は8位の経験もしていたので、ギリギリで出場できないという気持ちもわかります。それはこれまでの10年間ではまったく感じることがなかった感情でした。 ――それは新しい感情ですか。 競輪祭前の11月にインタビューを受けたんですが、賞金ランキングの順位を見て、グランプリ出場権獲得までの道のりを聞かれた時に、「気持ちはそこにいない」と私は伝えました。というのは、走れていることに感謝しかないと思ったからです。お客さんに感謝だし、この環境に感謝だし、それがすべてだったんですよ。常に走れていることはすごいことだし、奇跡だなと思いながらレースをしています。こうしてグランプリに出場できて、もちろん優勝したいという思いもありますが、それと同時に感謝の心が大きいですね。 【上下動の激しかった1年間】 ――いよいよ12月29日がガールズグランプリ2024です。一発勝負のレースとなりますが、3日間のレースとの調整の違いはどんなところですか。 ガールズグランプリは29日で、27日が前検日で、1日空いているんですよね。一昨年の平塚開催から中1日あるんですけど、その前の9年間は、前検日の翌日に走っていて、気の抜けない時間がずっと続いていました。1日空くことで、1回気持ちを抜けるのはありがたいですね。
――2年ぶりの出場ということで、期するものはありますか。またこのレースでの走りを通して伝えたいメッセージがあれば教えてください。 昨年出られなかったなかで、この1年間、本当に応援してくれている方、支えてくれている方がすごく増えたんですよね。周りの人が本当にたくさん助けてくれて、その方たちに向けて走りたいなと思います。 ――ガールズグランプリが今年最後のレースになりますが、この1年間を振り返ってどう感じていますか。 気持ちがジェットコースターでしたね。1月、2月、3月はとてもいいスタートダッシュをして、4月のGⅠ、6月のGⅠ、7月のサマーナイト(ガールズケイリンフェスティバル)は決勝に乗れず、上がったり、落ちたり、また上がったりと、激しい1年だったなと思います。最終的にグランプリに行けて、幸せ度としてはピークなんですけど、すごい1年だったなと思います。 ――最後に改めてガールズグランプリへの意気込みをお願いします。 同じことにはなりますが、支えてくれる人、手伝ってくれる人、応援してくれる人、関わってくれる人が増えたなかで、その方々が喜んでくれるような走りをしたいと思っています。 【Profile】石井寛子(いしい・ひろこ)1986年1月9日生まれ、埼玉県出身。中学時代は陸上に励み、高校から自転車競技を始める。大学1年からナショナルチームにも在籍。大学4年時にACCトラックアジアカップのケイリンで優勝する。数々の世界大会で活躍し、2013年にガールズケイリンデビュー。初年度からガールズ最優秀選手賞に輝き、2017年にはガールズグランプリで優勝を飾る。2024年1月にはガールズケイリン史上初の600勝を達成した。
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