立川志の春が落語の修業時代に学んだ“仕事のヒント” 師匠・志の輔からたたきこまれた言葉「俺を快適にしろ」の真意
時事ネタもいいですね。「大谷翔平、すごいですね」など、無難な話題から何かしら引っかかるものが見えてくると思います。 アイスブレイクは商談への流れをスムーズにするために行うものですから、用意した話をする、鉄板トークを持つというよりは、相手に合わせることを考えたほうがうまくいくのではないでしょうか。 枕もまた、お客さんの想像力を落語の世界に導くためのものなんですよ。 落語家にとっての落語は、お客さんへの商品であり、プレゼンテーションそのもの。現代の日常生活とかけ離れてしまった落語の世界にスッと入ってきてもらうには橋渡しが必要であり、その役割を担うのが枕というわけですね。
「interesting」の「面白い」には普遍性がある
アイスブレイクの際、「面白い話をしなければ」というプレッシャーを感じている人もいると思いますが、「面白い」には「funny」だけでなく、「interesting」のベクトルもあります。 同じ「面白い」でも、「知的好奇心をくすぐる」「興味深い」といった話には、普遍的なものが多くあり、コミュニケーションが広がりやすいように思います。 それを実感するのが、英語落語です。 私は海外の方向けに英語で落語をするのですが、枕でinterestingを意識すると、「日本はこうだけど、そっちはどう?」というような、外に開いたネタになっていく。 例えば、「Good morning」を直訳すると「良い朝」ですが、「おはよう」は「It is early」 しか言っていない。「Good afternoon」も「良い午後」に対し、「こんにちは」は「Today is」です。日本語だと、後ろの方の意味がカットされているんですよね。
こういうよく考えると変なことは身の回りにたくさんあって、そういうのを海外の人たちは楽しんでくれます。 ビジネスパーソンの皆さんも、アイスブレイクを考える時にinterestingの切り口を持つといいと思います。 改めて周りを観察したり当たり前を見直してみたりすると、話のネタはいろいろあるもの。「笑いって苦手だな」という人でも、この方向ならいくらでもやりようがあります。 ただ、やや矛盾するようですが、英語を勉強中の人には「英語でウケる」という感覚をぜひ得てほしいとも思います。 違う言語でしゃべったことで、違う文化の人たちにドンとウケる。これは最高の気持ちですよ。 その感覚が「もっとコミュニケーションを取りたい」「もっと英語がうまくなりたい」という思いにもつながっていくんじゃないでしょうか。 英語落語の枕や小話であれば1分程度の短いネタもありますから、練習して、それこそアイスブレイクで披露してみてください。