【プベルル酸】「毒性が強いと言い切るのは難しい」マウス5匹中4匹死んだ論文は「マラリア感染マウスでの実験」小林製薬の紅麹 専門家の見解
――3月29日、同日に会見した小林製薬と厚生労働省。小林製薬は「外部からカビが混入した可能性をゼロではない」と述べ、厚生労働省は、サプリメントから「プベルル酸」という想定外の物質を検出したと、具体的な名前が出てきました。プベルル酸について厚労省は、「青カビの一種が生成する天然化合物」と説明したのですが、東京工科大学名誉教授の今井伸二郎さん、天然化合物というのはどういうものでしょうか。 ▼【画像を見る】紅麹サプリ摂取後にけん怠感を訴える男性…ようやくつながった相談窓口 天然化合物に対する言葉は「合成物」となります。つまり、人為的に作られたものではなく、自然に発生したもの、自然に生まれたものが天然化合物の定義になります。元々、紅麹はカビの仲間なんですが、発酵生産してる最中に、プベルル酸を産生するカビが汚染してしまって、その結果として生み出されたものではないか、と考えられるわけです。もちろんそれを小林製薬が確認しているわけではないんですけれども。
――プベルル酸を検出ということは、外部から異物が入ったと言い切っていいんですか。 (東京工科大学 今井伸二郎名誉教授)そうです。ただもしかすると紅麹が作っていたのかもしれませんけれども、可能性としては、プベルル酸を産生するカビが汚染したっていう可能性が高いと、私は思います。
『健康被害の原因、プベルル酸とは言えないのではないか』の見解
――プベルル酸は、マラリア原虫を殺す性質があるということも厚労省は述べています。 (東京工科大学 今井伸二郎名誉教授)元々プベルル酸が見つかった経緯は、マラリアに対する薬を探す過程において見つかってきたもので、ただ実際に調べてみると、比較的毒性が強いので、マラリアの薬にするにはやっぱり問題があるということで、開発されなかった経緯のある成分です。 ――健康被害とプベルル酸の因果関係は現時点でまだわかっていません。今井先生は『健康被害の原因はプベルル酸とは言えないのではないか』という見解を示しています。今井先生によりますと、「プベルル酸に腎障害を発症させる報告はない」ということ。さらに、「プベルル酸は、毒性が強いとは言い切れない、フグの1万分の1の毒性」ということです。