退職金を600万円ほどもらえる予定です。確定申告は必要ですか?
Aさんは今年定年を迎え、退職金を約600万円受け取る予定です。確定申告は原則不要ですが、場合によっては確定申告をしたほうがよいケースがあることを知り、調べたところ、内容が難しく理解できないとのご相談です。 本記事では、退職金と税金について分かりやすく解説します。
退職金と税
最初に、退職所得と税金について簡単に説明します。退職所得にかかる税金は他の所得とは別に計算されます。したがって退職所得にかかる税金はその人の勤続年数と退職金で計算することができます(※1)。 ・退職所得の課税対象額=(退職金-退職所得控除額)× 1/2 (マイナスの場合は0円) 退職所得控除額は、勤続年数が20年以下の場合と20年以上の場合で異なります。図表1は退職所得控除額の計算方法です。
出典:国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」より筆者作成 今回のAさんは、勤続年数(Y)を10年と仮定した場合、600万円の退職金を受け取ると、所得税と住民税はそれぞれ約5万円と10万円です。 ・退職所得控除額=40万円×10年=400万円(1) ・退職所得の課税対象額=(600万円-400万円(1))×1/2 =100万円 ・所得税=100万円×5%×1.021≒5万1000円(注) ・住民税=100万円×10%=10万円 (注)所得税は累進課税となっているため、課税対象額により税率は異なります(※2)。
退職金を受け取った人と確定申告
通常、退職金を受け取った人は会社が所得税を源泉徴収するため、確定申告をする必要はありません。 しかし、以下の4つのケースに該当する場合は、退職所得の申告が必要です。 1. 会社に退職所得の受給に関する申告書を出していない場合 2. 再就職した会社の年末調整で、前の会社の源泉徴収票を提出していない場合 3. 年の途中で退職し、その年の年末の時点で再就職していない場合 4. 医療費控除等の理由で確定申告をする場合