1度食べたらハマる「黒いちゃんこ鍋」舌が求める辛み 名駅で創業80年以上の老舗・角重
名古屋市中村区には、一度食べると病みつきになる「黒いちゃんこ鍋」があるといいます。ちゃんこ鍋とは透き通ったスープのイメージですが、黒いものの正体とはいったい何なのか。さっそく足を運んで、ウワサの真相を確かめてきました。
名駅近くに佇む老舗・角重 看板メニューは「ちゃんこ鍋」
創業80年以上の老舗「柳ばし 角重(かどじゅう)」。名駅エリアの飲食店激戦区で長年愛され続けています。四代続く角重の料理は、新鮮な刺し身や焼き鳥、揚げ物など、お酒が進むメニューが豊富。中でも、人気ナンバーワンメニューは特製ちゃんこ鍋です。
エビ、豚肉、鶏肉、大量の野菜など、10種類の具材がたっぷりと入ったちゃんこ鍋ですが、スープは透き通っていて「黒く」はありません。
黒さの理由は大量のコショウ
見た目では分からないとなると、味に秘密が隠されているのでしょうか? スープをすくってみると、レンゲの下に黒い沈殿物が。これこそが黒い鍋の正体でした。 角重の鍋は、驚くほど大量のコショウが使われた超スパイシーな味わい。鍋の底には沈殿したコショウがびっしりで、これが鍋を黒くしているのです。
素材のうまみとコショウの辛さが絶妙に合わさり、唯一無二の和風スパイシーなちゃんこ鍋に仕上がっています。 厨房をのぞくと、かなりの量のコショウがふりかけられていましたが、ひと口食べるとだしと素材のうまみが絶妙なバランスでクセになる味わいです。
三代にわたり受け継がれてきた「黒いちゃんこ鍋」
なぜ「コショウまみれのちゃんこ」になったのか、そのルーツを聞いてみました。 四代目によると、1960年代にはすでにちゃんこ鍋を提供。相撲好きの二代目が高砂部屋のちゃんこ鍋に感動し、レシピを教わったのが始まりだそうです。
味噌ベースのちゃんこに、お酒が進むようにと二代目が大量のコショウで大胆にアレンジしたのが現在のスタイルです。 コショウの分量のレシピはなく、四代目の“感覚”でふりかけているそう。しかし常連客は「味が変わらない」と太鼓判を押します。二代目から三代目、そして四代目へ、親の背中をみて、伝統の味が受け継がれているのですね。