田中将大36歳「年俸9億円」から4年…大減俸で楽天退団も「じつはパ5位の好成績」“シブい働き”とは? 1歳下の菅野智之も限界説を覆したからこそ
楽天復帰後2ケタ勝利を挙げられなかったが
NPB時代は、ここぞというところではギアを上げて155km/h超のフォーシームを投げ込んだが、次第にスライダー主体の技巧派へと変貌していった。 2020年、新型コロナ禍でMLBのペナントレースが60試合に短縮された。田中はローテーションをおおむね維持したがオフにFAとなり、楽天に復帰した。ただ復帰して4年、田中は一度も古巣で2ケタ勝利を挙げることができなかった。 それもあってNPB選手最高年俸の9億円も、2022年には4.75億円、23年には2.6億円(いずれも+出来高、推定)と減額された。 この数字だけを見ると「復帰後の田中は期待に応えることができず、年俸も急落した」ということになってしまうが――数字を仔細に見ると、少なくとも昨年までの3年、田中は楽天投手陣にあってローテーションを維持し、ベテランらしい働きをしていた。 ではなぜ、勝ち星を挙げられなかったのか? 2021年から3年間の田中の成績、失点(1試合当たりの平均失点)と、田中の登板時の味方の援護点(平均援護点)を比べると以下のようになる。 2021年 23試合4勝9敗155.2回 率3.01 失点54(2.35)援護点40(1.74) 2022年 25試合9勝12敗163回 率3.31 失点65(2.60)援護点74(2.96) 2023年 24試合7勝11敗139.1回 率4.91 失点79(3.29)援護点52(2.17) ちなみに2013年はこうだった。 2013年 28試合24勝0敗212回 率1.27 失点35(1.25)援護点150(5.36)
21~23年で「じつはパ5位」の好成績とは
2013年、空前の成績を挙げた時には、田中はめったに失点しない投手ではあったが、同時に味方の援護点は、田中の失点の4倍以上もあった。 しかし2021年、23年は田中の失点よりも援護点の方が少なかった。また2022年もわずか9点多いだけだった。 2013年は、田中が投げた試合では味方打線が大量点を取ることが多かったのに対して、復帰後の楽天では、打線の援護に恵まれなかったのは事実である。 よく、味方の援護がない投手は投球のリズムが悪いからだ――などと言われるが、巡りあわせが悪かったのだと思う。 なにより田中自身は3年とも規定投球回数前後のイニング数を投げて、救援投手の負荷を軽減している。全盛期のような投球はできなかったにしても、先発投手の責任は果たしていたと言える。 21~23年の3年間で投げた458回は、パ・リーグではオリックスの山本由伸(550.2回)、西武の髙橋光成(504.1回)、日本ハムの上沢直之(482.1回)、加藤貴之(461回)に次いで5位の成績だった。 楽天の投手では最も多く(則本昂大が424.2回)、283.2回だったロッテの佐々木朗希などと比較しても、多くのイニング数を消化したのは事実として残る。もちろん9億円の年俸が釣り合っているかどうかは別の話ではあるが――。 田中は2023年オフに「右肘関節鏡視下クリーニング術」を受けて、2024年はリハビリ途上だった。今季は1試合に投げて1敗に終わったが、11月1日に36歳になったベテラン投手のリハビリが遅れるのは、ある程度仕方がないところではあろう。