シリアで何が起きているのか 内戦の経緯と再燃のきっかけを解説
なぜ今、紛争が再燃したのか?
11月27日に始まった攻撃に先立ち、反体制派は「軍事作戦司令部(MPO)」と呼ばれる新たな連合体を結成した。 MPOはすぐにアレッポ郊外の村々を制圧し、住民によれば、今や市内の大部分を制圧した。 戦闘員は、占領地の解放を目指しており、激しさを増している政府軍と親イラン民兵組織による攻撃に対処していたと述べている。 反体制派は、主要同盟国が他の紛争に大きく気を取られ政府が弱体化している折に乗じようとしている可能性がある。 反体制派の進撃に対応して、ロシアとシリアの空軍はアレッポとイドリブ県で空爆を開始した。 ロシアはウクライナ侵攻に兵力と資源を投入してきたが、アサド大統領にとって同国は空軍における主要なパートナーだ。 一方、イランはイスラエルからの一連の攻撃に悩まされており、特にヒズボラへの打撃は大きい。アナリストはCNNに対し、シリアの反体制派はヒズボラがいなくなったことで生じた間隙(かんげき)を利用して進撃していると指摘する。 アレッポの喪失は政府軍にとって大きな後退を意味する。アレッポはかつて人口と経済資本でシリア最大を誇り、世界でも有数の歴史を持つ居住都市だ。 アレッポは、アサド氏が16年に奪還するまで反体制派の主要拠点でもあった。反体制派は足場を取り戻したことで、イドリブに追い詰められることはなくなった。
反体制派とは誰か?
この新しい連合体は、イスラム主義派から穏健派まで、幅広い反体制派勢力で構成されている。 この連合体を率いるのは、過激派組織「シャーム解放委員会」(HTS、旧ヌスラ戦線)だ。ヌスラ戦線はかつて国際テロ組織アルカイダと関係があった。 HTSは正式にアルカイダとの関係を断ち切り、イドリブの事実上の支配者となっている。トルコの支援を受けた組織や、米国が以前支援していた組織も加わっている。
シリアはどう対応するのか?
シリアとロシアの戦闘機は、アレッポとイドリブで反体制派を攻撃してきた。これは、内戦下で領土を取り戻すために極めて重要な戦術だった。 アサド氏は、シリアは引き続き「すべてのテロリストとその支持者を前に、安定と領土保全を守る」と約束しており、国防省は反撃の準備を進めていると述べた。 しかし、現段階では政府の対応能力や意思がどの程度のものなのかは不明であり、主要な支援勢力によるサポートに大きく左右されるとみられる。 イランのアラグチ外相が1日にシリア首都ダマスカスに向かうなど、同盟国がシリアに結集する兆しがある。 反体制派がアレッポの主要な軍事施設や空港までをも支配下においているため、シリア軍にとって反撃は困難だとみられる。この都市は16年に政府に奪還されるまで、政府軍によるほぼ継続的な包囲に2年近く持ちこたえた。