工藤勇一校長「終わったらきれいに忘れる」テストに意味はあるのか…中間・期末テストを廃止した中学校で生徒に起きた驚くべき変化とは
生徒の立場からはその仕事内容が見えにくい校長先生という仕事。みなさんはどのような印象をお持ちでしょうか。「校長の意識さえ変われば、学校全体が必ず変わります」と話すのは、千代田区立麹町中学校で校長として400項目以上の教育改革を実行してきた、工藤勇一先生。現在は、私立の横浜創英中学・高等学校の校長として、画期的な教育改革を実行し続けています。工藤先生は「テストの結果を根拠に学力を測ったり成績をつけたりすることに疑問を感じていた」そうで――。 【書影】全教員必携の経営論・人材育成論にして、保護者向け永久保存版テキスト!工藤勇一『校長の力-学校が変わらない理由、変わる秘訣』 * * * * * * * ◆中間・期末テストの廃止へ 定期考査をなくそうと考えたのは宿題と同様で、最上位の目的を達成するための手段として適していない、と感じたからです。 中学生の時は、定期考査が近づいてくると、皆さんプレッシャーを感じたのではないでしょうか。1週間前になって付け焼き刃で、何とか遅れを取り戻そうとにわか勉強をすることになる。テストに出そうな部分にヤマを張って、一夜漬けで頭に叩き込んだ人も多いと思います。 そして、テストが終わったらきれいにすっかり忘れてしまう。 最上位の目的とは、「学習の成果を持続的に維持すること」ですが、定期考査を実施したからといってなかなかそうはいきません。 単なる暗記でも、「点数を取る」という目的なら、何とか達するかもしれません。しかし、それでは意味がありません。 テストの結果を根拠にして学力を測ったり成績をつけたりすることに対しても、僕らは疑問を感じていました。
◆身につけさせたい学び そこで、麹町中(著者が校長として教育改革を行った千代田区の中学校)に赴任した2年目に、まず1学期の中間考査を廃止しました。 一人ひとりが自律した学びができるようになるために大切なことをいくつか挙げると、まずは何を勉強する必要があるのかを自分で考え、気づくことです。そして次に「何がわかって」「何がわからないのか」を認識することです。 そして最も重要なのが、「わからないもの」について、自分で調べてみたり、他人に聞いたりするという行動を繰り返しながら、疑問を解決する方法を身につけていくことです。 僕らはそうした学びを身につけさせたいと考えました。 中間考査の撤廃は、2002年に週5日制が完全導入されて以来、授業時間の確保を目的に他の学校でも行われていたので、これは割と問題なく移行しました。 しかし、ここからが大変でした。
【関連記事】
- 金八先生以後に生じた「学校=悪という構図」「学校が良いサービスを提供して当たり前という考え方」…工藤勇一校長が指摘する<近年の教育現場が抱える問題点>とは
- 工藤勇一校長 終わったらきれいに忘れるテストに意味はあるのか…中間・期末テストを廃止した公立中学校で生徒に起きた変化とは
- 共学トップの超進学校「渋幕」創設者 人が初めて人間らしくなれた「大発見」とは? 本能ではなく知性で生きることの大切さ
- なぜ超進学校「渋幕」「渋渋」学園長は生徒に「真似」を勧めるのか?「歴史」を学べば、AIが越えられない創造力の壁も乗り越えられる
- 超進学校「渋幕」創設者「人工知能を過剰に恐れる必要はない。使う人間が歴史に学んで、生きている過去を活かすことこそ、AI時代を生きる世代の役割である」