舛添都知事が都バス24時間化「失敗」発言 交通政策は変わる?
猪瀬直樹前都知事の肝煎り政策として、昨年12月20日から始められた都バスの終夜運行。猪瀬前都知事は東京オリンピックの開催に合わせるように、都市機能の24時間化を推進してきました。しかし、猪瀬前都知事の辞任にともない、終夜運行の前途には暗雲が立ち込めている。
「典型的な失敗例だった」
猪瀬直樹前都知事から新しく都政の舵取りを任された舛添要一都知事は、都バスの終夜運行について、記者団に向かってそう述べました。 舛添都知事が失敗だと断じた、終夜運行の都営バスは毎週金曜日に渋谷駅~六本木駅間を8便運行しています。運行開始直後は、一日の利用者が300人を超える盛況ぶりでした。今年度に入ってからは、一日の利用者数は100人前後で落ち着いています。この数字を多いと見るか、少ないと見るかは判断が分かれるところです。 「都知事は失敗と発言されていますが、だからと言って来年度の廃止が決まったわけでも現場に指示があったわけでもありません。交通局では利用状況を調査していますが、その結果を見て、今後どうなるかを判断するのだと思います」(東京都交通局)
「多摩地域では削減されている」
終夜運行以外にも、舛添都知事は都バスに対して注文をつけています。それが、「多摩地域では都バスのサービスが削減されている」という内容でした。 選挙期間中、舛添都知事は多摩地域のインフラ整備が遅れている状況を憂慮し、多摩地域専任の副知事を置くことを公約に掲げていました。 東京都交通局は、地下鉄、都バス、都電、日暮里・舎人ライナーなどを幅広い公共交通を担当しています。そのうち、多摩地域では都バスだけしか運行していません。多摩地域の交通整備に力を入れている舛添都知事としては、都バスを充実させることで多摩地域にテコ入れしたいと考えているのかもしれません。
料金体系から違う23区と多摩地域
都バスは一乗車210円(ICカードで乗車した場合は206円。ともに大人運賃)ですが、多摩地域の都バスは初乗り180円(ICカード乗車は175円)で、乗車距離に応じて運賃が変わる区間運賃制を採用しています。23区と多摩地域とでは、料金体系からして違います。 多摩地域の都バスの大半は、青梅市を走る路線です。その中で、特別な存在が「梅70」 系統です。「梅70」は青梅車庫~西武柳沢駅間の約31.8キロを2時間かけて走る、青梅市・武蔵村山市・東大和市・小平市・西東京市と瑞穂町を東西に貫く都バスの最長路線です。 「『梅70』のルートには市役所や病院が多く、市をまたいで乗車される利用者も多いのです。自治体のコミュニティバスではカバーしきれず、5市1町から要望されて、都が運行しています。利用状況はそれほど多いわけではありませんが、都民の足を守る公共交通機関として役割が強い路線です。今のところ、舛添都知事から多摩地域の都バスに関して具体的な指示はありません」(東京都交通局) 多摩地域の交通インフラ整備は、東京都が取り組むべき課題です。問題解決には、交通局だけではなく、都市整備局や建設局と連携しなければ解決できません。