ケガからの復活の歩み進める 横浜出身の陸上男子棒高跳びの選手、江島雅紀さん(25) 地域で輝く
陸上世界選手権が令和7年、東京で開催される。日本開催は18年ぶり。男子棒高跳びで日本歴代3位タイの記録を持つ25歳は、大舞台を目指し、例年より速いペースで調整に励む。「本当に充実した練習で、試合を想定した動きもできている」。気持ちを高ぶらせる。 3年の東京五輪に出るなど順風満帆だった競技人生が暗転したのは、4年6月。試合中に右足舟状骨を粉砕骨折した。7月に手術をして患部に金具を入れたが、術後は歩けないほどの激痛が走り、日常生活もままならない。競技に復帰できるか不安で辛かった。5年3月には別の場所から骨を移植する手術もした。 少しずつ競技復帰を考えられるようになったのは、周りで支えてくれた人に恩返ししたい思い、そして、ケガを理由に志半ばで現役を去る選手も多い中、「もう一度日本代表になって、ケガしても乗り越えられると伝えたい」という思いが強くなったから。苦しいリハビリの支えになった。 同年秋の全日本実業団対抗選手権で競技に復帰。不安で足が震える中、約1年3カ月ぶりに試合でバーを越えた。自己記録に遠く及ばなかったが、胸が熱くなった。「人生で一番よかった跳躍だった」。新たな一歩が踏み出せた。 今も痛みは残り、体重もベストには戻っていない。恐怖心との戦いも続く。ただ、ケガを機に食生活を見直すなどし、「失ったものはすごくあったけど、得たものも大きい」。昨年は韓国の大会で優勝し、練習では自己記録に迫る5メートル70も成功した。3年後のロサンゼルス五輪も見据えながら、復活の歩みを進めていく。(小川寛太) ■えじま・まさき 平成11年生まれ。横浜市神奈川区出身。中学1年から棒高跳びを始め、荏田高3年時に全国高校総体で優勝。日大から富士通に進み、日本選手権は2度制した。令和元年の世界選手権(ドーハ)、3年の東京五輪にも出場。元年にマークした自己記録の5メートル71は、日本歴代3位タイの好記録。