「虎に翼」登場人物が“振り切り”すぎ? 朝ドラなのに“王道”じゃない、異色作がヒットしている「その理由」
なぜか女性は仕事も結婚も子育ても、自分が求めるからにはすべてに満点を期待されるようなところがあるが、仕事70点、家事30点だっていいではないか。ときにはすべて赤点だっていいではないか。寅子を見ているとそんな気楽な気持ちにさせてくれる。 ■視聴者は形骸化したものに辟易している とかくドラマでは、母親は母性の象徴、お父さんは厳格、あるいは逆張りで酒浸りや借金をするダメ人間で、メンターな人物は絶対的に正しくなければならない、というように、固定化された役回りというものを描きがちだが、『虎に翼』はそれがない。
本来なら寅子のメンター的な存在になりそうな人物・穂高(小林薫)は、寅子を女子部法科にいざなったものの、そのあとは、悪気はないながら、ことごとく寅子の意に沿わない助言をして、寅子を憤慨させ続ける。 これまで当たり前に描かれてきた人物像や展開から外れていくことが、社会の価値観を変えていくときに来ている現代と呼応して、絶賛の声が増加していくのだろう。視聴者はこうであらねばいけないという形骸化したものに辟易しているのだ。
社会の当たり前を変えていく希望にもつながる『虎に翼』が優秀なのは、SDGsの基本理念「誰も置き去りにしない」に即していることである。 NHKは、2018年9月に設立された「SDGメディア・コンパクト」という、世界中の報道機関とエンターテインメント企業に対し、その資源と創造的才能をSDGs達成のために活用するよう促すことを目的とした事業に参加し、番組づくりにSDGsを取り入れている。 ■『虎に翼』に取り入れられた目標
『虎に翼』の制作にももれなく、SDGsの意識は注入されているだろう。そう思って、SDGsの17の目標を見てみると、同作ができるだけ目標に合う内容を書いていることがわかる(マーカー部分)。 目標1 あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ ←ヒロインが戦災孤児の救済にあたる 目標2 飢餓をゼロに ←法律に倣い闇物資を拒否した判事をモデルにした人物が描かれた 目標3 あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する