「正直『飛んでくんな』と…そこまでなったのは初めてでした」オリックス・安達了一はなぜ引退を決めたのか「あのエラー」と「取り戻した誇り」
2024年シーズン限りでオリックス・バファローズの安達了一内野手がユニフォームを脱いだ。引退を決めた“あのプレー”、難病と戦った現役生活、盟友との熱いエピソード……。新シーズンから一軍内野守備・走塁コーチに就任する守備の名手がNumberWebのインタビューに明かした。〈全2回の前編/後編も公開中です〉 【秘蔵画像】「Tさん!後ろ、後ろ!」安達了一と抱き合うTー岡田に駆け寄るのはあの“超人”…低迷期からオリックスを支えた2人の絆を感じるエモい瞬間を写真で振り返る(60枚) 秋の高知キャンプの快晴の午後。グラウンドの隅から、「ううう」とうめき声が漏れる。宗佑磨、太田椋、廣岡大志の内野手3人が、脚をプルプルさせながら、股割りの姿勢のまま耐えていた。 一方、3人の前で手本を見せている安達了一コーチは、涼しい顔で微動だにせず美しい股割り姿勢をキープしていた。廣岡が耐えきれず腰を浮かすと、「大志、何やってんの」と優しく指導を入れる。 インタビューでそのことを聞くと、「僕はずっとやってきたから、慣れてるんで」とこともなげに言った。 「内野手には股関節が大事なので、そこは(メニューに)入れたいとずっと思っていました。股関節の柔らかさが、今の若い子ってあまりないので。そこはバッティングにも活きるところですしね」
自ら幕を引いた現役生活
オリックスで13年間、ショート、セカンドを守り、状況に応じた巧みな打撃でもチームを支えた安達は、今シーズン限りで現役を引退した。最後の1年は選手兼任コーチを務め、引退後は一軍内野守備・走塁コーチ専任となった。 「まだ引退した実感はあまり湧いていないですね。たまに選手と一緒にやっているから。やれる時にはまだ一緒にやりたいと思っています」 わかっていたことだが、この36歳はまだやれた。1年前の契約更改で選手兼任コーチを引き受けた際には、「中嶋(聡)監督は兼任で9年やったそうなので、僕は10年を目指します」と意気込んでいた。だがそれから1年で引退を決断。 「体的には全然大丈夫だったし、怪我も特になかった。あれがなかったら、まだやっていたかもしれないですね」 “あれ”は、今年5月1日、ほっともっとフィールド神戸で行われたロッテ戦の9回に起きた。
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