史上最高値まで1.04%の水準に戻った米S&P500、円高で米国株ファンドの基準価額は最高値まで遠い
8月19日までに米国S&P500は8営業日連続で上昇し、7月16日に付けた史上最高値に1.04%の水準にまで迫った。米国株価は、8月2日に発表された米7月の雇用統計で非農業部門雇用者数(NFP)が11.4万人増と予想の17.5万人増を大きく下回り、失業率も6月分の4.1%から4.3%に悪化するなど、景気後退(リセッション)懸念が高まったことに加え、先行して日本の株価が日銀の利上げによって急落していたということもあって、8月5日には2022年9月以来の3.00%安という大きな下落率で下げた。その大きな下落局面を2週間程度で取り戻しつつある。ただ、日本から米国株に投資していると為替の円高・ドル安の影響もあったため、米国株ファンドの戻りは米株価指数ほど大きいものにはなっていない。主要なファンドの値動きを振り返ってみたい。
国内最大の純資産残高を有する「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」を筆頭に、公募投信の大型ファンドには米国株式を主要な投資対象にした銘柄が少なくない。それだけに、米国の株価動向は、国内投資家のファンド運用の成績に大きな影響を与える存在になっている。
たとえば、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、昨年末に対して7月11日時点では35.14%値上がりしていた。半年余りのパフォーマンスとしては、きわめて大きな値上がり益(評価益)を投資家にもたらしていた。今年1月に始まった新NISAでも同ファンドの人気は高く、その大きなリターンによって人気に応えていたということもできよう。投資家は、投資した結果がプラスのリターンになっていることを喜び、投資を安心して続けるよりどころにしていたことだろう。
ところが、7月末に実施された日銀による追加利上げと、その直後の米雇用統計の悪化によって投資環境は急変した。「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の基準価額は7月11日の高値から8月6日には17.44%下落した。高値からボトムまでのS&P500指数の下落率は8.49%にとどまっていたが、この当時は同時に為替の円高が進んだため、ファンドの下落率は大きなものになった。