史上最高値まで1.04%の水準に戻った米S&P500、円高で米国株ファンドの基準価額は最高値まで遠い
この7月高値から8月安値まで、代表的な米国株ファンドの下落率を調べると、「iFreeNEXT FANG+インデックス」が25.90%と大きく、「netWIN GSテクノロジー株式ファンドB(H無)」も23.52%、「AB・米国成長株投信Bコース(H無)」も20.43%と20%を超える大幅な下落になった。8月の下落が米国成長株を代表する大型ハイテク株中心に起きた影響がわかる。
その後、株価の回復とともに各ファンドの基準価額も上昇した。8月19日までに、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は8月6日に安値から9.34%上昇したが、高値からはマイナス9.73%の下落率の水準にある。株価指数は最高値まで1.04%だが、為替の円高・ドル安の影響があり、基準価額の最高値まではまだ遠い。同様に、「iFreeNEXT FANG+インデックス」は安値から13.14%上昇したが、高値からはマイナス16.17%の水準。「netWIN GSテクノロジー株式ファンドB(H無)」は安値から13.03%上昇したが高値からはマイナス13.56%、「AB・米国成長株投信Bコース(H無)」は安値から9.46%上昇したものの、高値からはマイナス12.90%の水準にある。
ドル円は、7月上旬には1ドル=161円台だった。それが、8月19日時点のNY時間では1ドル=146円台だ。9%以上の円高・ドル安の水準になっている。S&P500が8月の下落率をほぼ取り戻しているものの、円建てで評価するファンドの基準価額は為替が円高・ドル安に動いている分のマイナスになっている。今後、為替は米国が利下げに動くタイミングを迎えているため、金融を引き締める動きになっている日本と比較すると円高・ドル安に動きやすい環境になっている。米国株価指数が再び最高値を更新するような動きになる一方、国内の米国株ファンドは為替の影響を受けそうだ。
米国は9月にも利下げに動くとみられている。現在、その利下げ幅は0.25%なのか0.50%なのか見方が分かれているが、その幅によっても為替相場の動きは異なるだろう。2020年3月のコロナショックを大底にして、米国株価の上昇と円安が大きなトレンドとして続いてきた。依然として米国株価の上昇は続いているようだが、為替は一方的な円安とは違ってきている。今後の米国株ファンドへの投資にあたっては、為替変動の影響についても考慮することが必要になっている。(グラフは、主な米国株ファンドの基準価額の推移)
ウエルスアドバイザー