「空き家の実家じまい」どうすれば… 「やみくもに手を付けないで」 専門家が教える遺品整理のポイント
長野県内の空き家は23年10月時点で20万9千戸に上り、初めて20万戸を突破。空き家率は前回調査(2018年)より0・5ポイント多い20・1%で、全国の都道府県で高い方から6番目となる。少子高齢化と人口減の中で、増え続ける空き家問題に処方箋はあるのか、実家じまいのこつは―。専門家にインタビューした。 【七つのポイント】遺品整理のこつ
遺品整理士の上野貴子さん「本当に残したい物だけを」
空き家となった実家を手放す“実家じまい”は高齢の親が亡くなった後、3~6年ほどたってから考える人が多い印象だ。でも、子世代の多くは50、60代だから、体力的にも大変。家の中を片付けようにも、あまりに物が多くて「どこから手を付けてよいか分からない」という人もいる。 空き家の片付けはやみくもに手を付けるのではなく、始める前の「頭の整理」が大事だ。まずは、手元に残しておきたい物の量の上限を決めておくこと。例えば「自分の家に持ち帰るのは段ボール3箱分」などとする。「無人島に3冊本を持っていくとしたら」という問いと同じ感覚で、本当に残したい物だけを選んでほしい。
入り口を起点に一方向に
効率的に片付けるこつは、入り口を起点に、時計回りや手前から奥に一方向に片付けていくこと。あらかじめ「金品」「日記、写真やノート類」「衣類」「食器」などカテゴリー別に段ボール箱などを10箱くらい用意し、仕分けていく。ごみは最初からごみ袋を用意して入れ、自治体の決まりに従って処分する。
アルバム、手芸作品…処分ためらう遺品は
処分をためらう人が多いのが、写真アルバムだ。今はスキャナーなどでデジタル化して保存する方法もある。故人の着けていた眼鏡や湯飲み、手芸作品なども遺族が「どうしようか」と迷うケースが多い品だ。私が代表を務める会社では月に一度、僧侶による遺品の合同供養をしている。「お焚(た)き上げ」をしてくれる神社や寺院を探してみても良いだろう。
業者の質、見分けるこつは
遺品整理は本来、遺族や友人が、故人の思い出を語り形見分けをしながら行うもの。故人が遺言やエンディングノートで貴重品のありかや残してほしい物を書いてくれた場合は作業しやすいが、なければ大量の物との格闘になる。かなり体力を使う作業でもあり、空き家の増加に伴い業者に依頼する人も増えている。新しいサービスで業者の質も玉石混交だ。見分けるこつは、まず電話対応が誠実かどうか。2、3社相見積もりを取り、「一式」でいくらとせずに内訳を出す所が良いだろう。