学校の健診「胸部の露出」まだ現場の対応分かれる 原則は着衣、「嫌なものは嫌」「同性の医師で」
非常勤講師を務める龍谷大で健診の脱衣問題を話したところ、学生から「高校の時も服を脱いでの健診だった。裸を見られるのは嫌だった」、「体操服を着用していたが、胸が見える範囲まで体操服をたくしあげるのはいい気持ちではなかった」などの感想があったという。浅井さんは「上半身を裸にする健診は性的配慮に欠ける」と指摘。大津市では昨年度から、上半身裸での健診は行わないと実施方法に明記している。 ただ、他都市では、背骨が曲がる脊柱側弯(そくわん)症が学校健診で見逃されたとして訴訟に発展したケースもある。浅井さんは、衣服を着たままでは正確な診断に影響するかもしれないとの校医の懸念も分かるという。 思春期の女子に多く発症するとされる脊柱側弯症については、検査に専用の機器を取り入れたり、整形外科医による診察を実施したりする自治体もある。兵庫県加古川市は本年度から、中学校では生徒と同性の医師が健診することにした。 学校保健安全法に基づく現在の健診の在り方も問われている。京都大医学研究科の井上悠輔教授(医療倫理学)は「子どもが不安になって敬遠するのも問題だが、校医が問題点を指摘しにくい仕組みになっても健診の意義が薄れてしまう。着衣・脱衣の問題を出発点に、健診の意義を改めて考えつつ、子どもに負担の少ない検査手法やアイデアを共有できるようなプラットホームづくりを目指す方向になってほしい」と話している。