元幹部自衛官に聞いた「無理しない人づきあい」。“敵”が少なくなる考え方のコツ
ついつい悩んでしまう「人づきあい」。元幹部自衛官で、働き方とメンタルについてのXの投稿が人気の(フォロワー17万人超え)のわびさんによると、無理のない人づき合いをするためには、まずは「ムダに敵をつくらないこと」が大切なのだそう。今回は、わびさんのしんどくならない人づきあいのコツをご紹介します。
自分だけではなく、相手にも「正しさ」がある
最近、人間関係を複雑にしている要素のひとつが「正義」だと思うようになりました。 正義を辞書で調べてみると「正しい道理、人間行為の正しさ」と定義されています。一見すると、しっかりと定義されているように思いますが、正しいとか正しさって、結構あいまいなものだと思います。 法律や政策など、いわゆる普遍的な価値観に基づく正しさは、わりとしっかりしていてあまり疑う余地はないと思います。でも、普段の生活では、正しいかどうかを自分の価値観や信念に基づいて判断することが多いです。 たとえば、から揚げのレモンの話。ある人は「から揚げにレモンをかけるのが正しい」と考えています。レモンの酸味がから揚げの油っぽさを和らげ、風味を引き立てると信じて疑わないから、彼らにとっては真っ先に大皿のから揚げにレモンをかけるのが正義なんです。 わかりやすいように、から揚げのレモンにたとえてみましたが、普段の生活やSNS上で見られる人間関係のトラブルも似たようなものばかりだと思います。 そこに絶対的な正しさは存在しないのに、「自分が正しくて相手は正しくない」と思うから、相手に対して否定的な感情が生まれ、人間関係がややこしくなってしまうんです。 また、司馬遼太郎さんの「人間は自分は絶対に正しいと思い込んだときにもっとも残酷なことをする」という言葉のとおり、「自分が正義で相手が悪」と断じてしまうから、トラブルが果てしなくエスカレートするんです。
●人それぞれと思えば「敵」が少なくなる
では、どうしたらよいのか。 まずは「自分が正しい!」と思うことがあったら、先ほどのから揚げのレモンの話を思い出してください。自分だけでなく、相手にも正しさがあるのではないかを考えるんです。 そこで「自分は正しい、相手も正しい」と思えたら、ムダな対立はなくなります。他者の意見や立場を尊重することで、「それぞれの小皿にから揚げを取ってから好きに食べればいい」的な考え方も生まれます。 人づきあいでは、自分の正しさだけに固執すると孤立します。孤立してしまうと、どこぞの国のようにまわりを威嚇したり、脅威を与えることでしか、自分の存在感を示すことができなくなってしまいます。 ほとんどの場合、人それぞれに正しさがあると思うことで余計な「敵」が少なくなり、より平和で協力的な人生を築くことができると思っています。 ※ 『人生から逃げない戦い方 メンタルダウンから生き延びた元幹部自衛官が語るユル賢い生存戦略』より一部抜粋、再構成のうえ作成しております
ESSEonline編集部