最新かつ最良の“ゲレンデヴァーゲン” ルックス不変でも中身は確実進化! 電動化された心臓を積むメルセデス・ベンツ新型「Gクラス」の印象は?
2種類のパワーユニットはともにマイルドハイブリッド化
見た目はあまり変わっていない最新の「Gクラス」ですが、走行性能は着実にバージョンアップが図られています。
従来「G400d」と呼ばれていた直列6気筒ディーゼルターボエンジン搭載車は37psのパワーアップを果たして367psとなり、さらに20psのモーター追加で「G450d」へ進化。ちなみにトルクは、エンジンの750Nmに加えてモーターが発生する200Nmも加わるなど、さらに太くなりました。ちなみにこのエンジンは、メルセデス・ベンツ史上最もパワフルなディーゼルエンジンです。 一方、今回試乗したメルセデスAMG「G63」のエンジンは、4リッターV8ガソリンターボで、585ps/850Nmを発生。こちらも新たに小型モーター(20ps/200Nm)が追加され、マイルドハイブリッド仕様となりました。 この「G63」、エンジンをかけた瞬間からただならぬ雰囲気。ドロドロドロ……とまるで脈打つような排気音は、とてもSUVのものとは思えません(いうなれば、アメリカンスポーツカーのよう)。さらにアクセルをあおってみれば、その鋭いレスポンスはまるでスポーツカー。さすがAMGです。 そしてひとたび加速すれば、軍用車両のような出で立ちで2.5トンを超えるヘビー級のモデルとは思えないほどの鋭い加速を味わわせてくれます。 ちなみに、停止状態から100km/hに到達するまでに要する時間は4.4秒。純粋なスポーツカーであるポルシェ「ケイマンS」より0.5秒も速いのですから、もはやスゴいというよりもあきれてしまうほどです。 “AMGアクティブライドコントロールサスペンション”という電子制御の油圧式スタビライザーの採用も、今回の商品改良における進化のひとつ。路面の状況と走行状態を検知し、瞬時にサスペンションの減衰力を調整するのに加えてロールの制御までおこなうことで、乗り心地とハンドリングのハイレベルな両立を図るのがこのシステムのねらいです。 試乗し始めた際、「従来モデルより乗り心地がしっとりしている気がするけれど、気のせいかな?」と思った理由は、ここにあったのかと後で気がつきました。ただし、大きく違うのかといわれれば、そこまでの違いはありません。 そもそも「Gクラス」のAMGモデルは、ハンドリングと乗り心地をハイレベルで両立しておりは、まるでスポーツカーのようにシャープなハンドリングで気持ちよく走れるのに対し、乗り心地も悪くないという不思議な乗り味。最新モデルもそれをしっかり継承しているため、従来モデルから乗り換えるユーザーの期待を裏切ることはないでしょう。 というわけで、“変わらないことが大切”な「Gクラス」。最新モデルに試乗して思ったのは、“変わらない美学”は詰まっているけれど、中身はしっかり進化しているということです。最新の「Gクラス」はまさに最良の「Gクラス」なのでしょう。
工藤貴宏