GPSがとらえた“異変” 地震をもたらす地殻変動は西日本でも 南海トラフ巨大地震のメカニズムを探る
GPSの位置情報を使って、地震のメカニズムを調べている京都大学の研究者がいます。能登半島で異常な地殻変動を観測していたほか、西日本では「南海トラフ巨大地震」につながる地面の動きも… 南海トラフ地震はなぜ「必ず起きる」と言われるのか、どのような地殻変動が起きているのか、取材しました。 【GPSがとらえた異変】日本列島で相次ぐ大きな地震・・・・南海トラフ巨大地震との関連は
「地下深くの流体が影響」能登半島でGPSがとらえた“異変”
最大震度7の揺れを観測した、能登半島地震。能登半島では2020年12月ごろから地震が多発していて、去年5月には、最大震度6強の地震が発生していました。
なぜ大きな地震が何度も起きるのか。京都大学防災研究所の西村卓也教授は、私たちの目では気付かない、ある“異変”をとらえていました。 (西村教授)「能登半島の北東部が隆起したり、あるいはそこから中心に膨張するような地殻変動が観測されていまして」
地震のメカニズムなどを研究するため、GPSの位置情報を使い、数ミリ単位で地面の動きを解析している 西村教授。去年5月までの2年半で、石川県珠洲市付近の地盤に「最大6cmの隆起」を観測していました。 (西村教授)「日本海側は普段はそんなに動いてないんです。突如こういうふうに動くっていうのは、かなり異常な地殻変動です」
原因を調べたところ「流体」と呼ばれる地下深くの水が、大量に上昇したとみられることが判明。 西村教授は、この流体が断層の隙間に入り込み、地震を引き起こしたと考えています。
地震をもたらす地殻変動は西日本でも…南海トラフ地震のメカニズムは
地震をもたらす地殻変動は西日本でも… (西村教授)「地面の動きが一番顕著に見えるのが、紀伊半島から四国にかけて、この辺りがずっと北西方向に動いてるっていう」 「南海トラフ」沿いで観測された地面の動きを見ると、1996年から去年までの27年間で、大きく北西方向に動いています。
「南海トラフ」では、海側のフィリピン海プレートが陸側のユーラシアプレートの下に1年に数cmの速度で沈みこんでいます。地下に引きずりこまれた陸側のプレートが「ひずみ」に耐えきれず、跳ね上がることによって発生するのが南海トラフ地震です。 27年間で、高知県の室戸岬では1m30cm、和歌山県の潮岬で1m2cm、地面の動きが観測されています。この動きによって地盤が変形し「ひずみ」が生じます。 (西村教授)「どんどんどんどん、このあたりにひずみが溜まっている状態。これが最後限界を迎えると、次の南海トラフ地震が来るということになる」