2年でふるさと納税額3倍。飛騨市のファーストペンギンが「一番に飛び込んだ海」
本稿は「トラストバンク地域創生ラボ」より、再編集しての転載である。 「ファーストペンギン」という言葉がある。主にビジネス分野で使われるもので、ペンギンの行動習性からきたものである。普段、陸上で過ごすペンギンだが、危険を顧みず魚を獲るため、最初に海に飛び込む者を指す。ビジネス分野では新しい領域を切り開く人を「ファーストペンギン」と呼び、彼らは、リスクを負いながらも大きなリターンを獲得している。 「私がむしろ重要だと思うことは、そのファーストペンギンに続いて、集団全体が海に飛び込み、皆が成長していく点」 こう語るのは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙飛行士候補者候補・米田あゆさん。東京大学入学式(2024年)で述べた祝辞での言葉である。 「誰かが挑んだフロンティアをただ後追いすることではなく、チャレンジ精神そのものを学び、他者と協力し合いながらも、一人ひとりが独自の一歩を踏み出すことではないか」 とも語っている。これは、地域にも当てはまる言葉だろう。地域に入って様々な取り組みを行う開拓者「ファーストペンギン」がいるが、ただそのまま後ろを追随するのではなく、独自の一歩を踏み出して成長していく集団があることで、地域は強くなる。 言うは易く行うは難しである。しかし、日本の地域には、ファーストペンギンの思考・熱意にいちはやく気づき、海に飛び込み、成長した人がいる。本連載では、彼らを「ファーストフォロワー」と称し、「ファーストペンギン」との関係性を紹介する。 1人目の「ファーストペンギン」は、岐阜県・飛騨地域で地域商社「ヒダカラ」を創業した舩坂香菜子さん。大手IT社員として飛騨市役所に出向し(2018年4月~2020年3月)、ふるさと納税を担当。当時、3.5億円だった寄付金を2年間で11億円へと導く。また、関係人口マッチングサービスを設立し、グッドデザイン賞受賞。 NewsPicksのプロピッカーとしても活躍する舩坂さんだが、現在は飛騨市からの委託のかたちで、「ヒダカラ」という民間の立場から、関係人口の創造、地域のネット通販支援の新規事業の立ち上げに従事している。そんな彼女は飛騨市役所への出向時代をどう振り返るのか。