石破首相発言で円キャリートレードが再び注目される
3日のアジア市場では円安が進み、1ドル=147円24銭まで下落、8月20日以来の安値を記録した。石破氏は3日のビデオメッセージで市場参加者とのコミュニケーションが重要だと述べた。
一時的な後退
円安は長続きしないだろうという意見もある。
石破氏の異例の直接的な警告は、10月27日の国政選挙を前にして発せられたものであり、市場とのコミュニケーションにおける経験不足を反映している可能性もある。東京のニッセイ基礎研究所のように選挙での明確な勝利の可能性を高めるための一つの方法であると考える者もおり、それは円安は長続きしないだろうという円高派を安心させるかもしれない。
マッコーリー・グループによると円ショート戦略の魅力をさらに損なう要因として、円相場の変動が挙げられる。3カ月間で円相場は30年以上ぶりの安値となる1ドル=161円95銭まで下落した後、9月には140円を割り込むまで回復した。
「円にとっては後退ではあるが、一時的なものだ」と、マッコーリー・グループのストラテジスト、ガレス・ベリー氏(シンガポール在勤)は言う。「年末のドル・円レートの目標値135円に到達するのが難しくなるだけだ。不可能ではない」
しかし、特に日銀の植田和男総裁が日本の政策見通しについてハト派的なシグナルを発したこともあり、当面は円安のさらなる進行を阻むものはほとんどないだろう。
サクソ・マーケッツのグローバル市場ストラテジスト、チャル・チャナナ氏は、石破氏の急転は「円高派」にとっては残念なことだが、米利下げサイクルも為替の方向性を決める重要な要因となるだろうと述べた。
「確かに市場では円建てのキャリーポジションが復活しているという主張も成り立ち」とペッパーストーンの調査部長であるクリス・ウェストン氏はメモに記した。しかし、ボラティリティは依然として高く、地政学上のリスクもまん延しているため「ここでキャリーポジションに本格的に取り組むには、勇気ある行動が必要だ」とした。