“ワンイシュー”戦略で元市議が初当選 新アリーナ建設を反対【豊橋市長選】
「透明性の問題」と指摘する声も
実際に豊橋球場がある場所を訪れてみると、新アリーナ建設計画を進める作業がすでに進んでいることが確認できました。 公園にいた市民は―― Q.どんな政治を期待する 「私もアリーナの建設は反対だった。巨額なお金を使うなら、子どもの給食費の無料化に使うとかね」(豊橋市民) 「若い市長で、新しい発想をしてくれると期待している」(豊橋市民) 「議会がどういう風にして、民意って言いますけど、説明をしていまのプロセスになって(新アリーナを)造ろうとなったのか、そのプロセスがはっきりしていなかったんじゃないのって。透明性の問題じゃないかな」(豊橋市民)
「推進派」多数の市議会の反対で住民投票は実現せず
論争を呼んだ、アリーナ計画。 反対する市民は署名を集めて住民投票を求めましたが、「推進派」が多数を占める市議会の反対で実現しませんでした。 選挙戦の期間中、改めて浅井氏に新アリーナへの思いを聞くと。 「にぎわいと感動づくりですよ。やっぱり現役世代だと、スポーツやコンサートを楽しめるとか。やっぱりそういった夢と感動の拠点づくりというのをやって、それでにぎわいづくりをやるのが、私は重要だと思っている」(浅井豊橋市長)
“ワンイシュー”の戦略
一方、新アリーナ建設計画への反対を訴えた、長坂尚登氏。 これまで豊橋市議に3回連続当選し、前回の市議選ではトップ当選していました。 「市民の期待の大きさを感じている。僕に市長になってほしい、“新アリーナを止めてほしい”ということですね」(長坂氏) 争点を「新アリーナの是非」に絞った、いわゆる「ワンイシュー」の戦略で、駅前で直接、市民に触れ合い、浸透を図りました。 「市民の声を聞く必要がないという意見を、(浅井市長は)市議会に出してきた。少なくとも豊橋公園には造らないという、市民の期待を大きく裏切ったことが問題」(長坂氏)
浅井氏は、新アリーナ計画が否定されたとは受け止めず
敗戦から、一夜明けた現職の浅井氏。 今回の選挙結果で新アリーナ計画が否定されたとは、受け止めていません。 「多目的屋内施設整備(新アリーナ)が、仮に(争点として)比重を占めていたなら、市民の民意がはっきりと示されて、明らかに推進をすべきだという声が圧倒的に多かったというのが良くわかる」(浅井豊橋市長)
専門家は、今後の市長と議会の対話の重要性を強調
現職が敗れ、新アリーナ反対の新人が当選した今回の市長選。 地方自治の専門家は、今後の市長と議会の対話の重要性を強調します。 「市長と市議会の話し合いで、あるべき方向が見つかれば一番良いが、それが見つからないのであれば、住民アンケートなどで住民の考えを調べ、もう一度市長と市議会が話し合うことが重要。1つの選挙に勝っただけで、これが民意だと決めつけるのではなく、様々な形で民意を探りながら政治・行政を進めていくことが大事」(名城大学 政治学 昇秀樹教授)