中国上海に「レクサス」新工場、トヨタが検討する背景
トヨタ自動車が中国・上海市に高級車ブランド「レクサス」の新工場を建設する方向で検討していることが分かった。早ければ2027年ごろの稼働を目指す。レクサスは35年に電気自動車(EV)に完全シフトする計画を掲げる。EVの普及が他の地域より先行する中国で、現地ニーズに即した車両や機能、サプライチェーン(供給網)などを整備する。 【写真】ハイブリッドを搭載したトヨタのレクサス「LX」 これまで中国で海外企業が現地生産する場合は、中国現地メーカーと提携し合弁会社を設立する必要があった。そのためトヨタは中国第一汽車集団と一汽豊田汽車を、広州汽車集団と広汽豊田汽車を設立し、それぞれ02年、06年から車両を生産している。 ただ、18年に合弁会社設立に関する規制が見直され、19年には米テスラが単独出資の工場を上海市で稼働した。トヨタが建設を計画するレクサスの新工場も合弁ではなく単独出資の工場になる見込みだ。 最大市場の中国では現地新興メーカーが攻勢をかけ、日系や欧州メーカーの牙城を崩している。トヨタの販売台数(レクサス含む)も24年4―9月期は前年同期比13・7%減と厳しい状況。 トヨタでは、常熟市の研究開発子会社「トヨタ知能電動車研究開発センター(中国)」に、広州汽車集団、第一汽車集団、比亜迪(BYD)などとの現地合弁会社の開発人材を加えて研究開発領域を増強するなど、地域ニーズを現地で反映する体制に変更していた。