中国企業が“なにわ男子の道枝駿佑と長澤まさみ”テレビCMで起用の狙い。SNS効果はどれくらい?分析してみた
ただ、BYDジャパンのSNSアカウントは長澤まさみさんの起用で特別反響があった形跡はなく、日本市場での新車投入を発表したタイミングのほうがフォロワーが伸びている。 10月上旬時点でXのフォロワーは約1万8000人、インスタグラムは1万人とパーフェクトダイアリーを下回る。 西田さんは「(化粧品のような)消耗品と自動車のような耐久財は、マーケ戦略が異なる」と前置きしたうえで、「SNSからマスまで立体的なマーケティングが求められる時代において、テレビCMとSNSを連動してより相乗効果を出していくことが、BYDの次の課題かもしれない」と指摘した。
もう1社、テレビCMが放映されるたびにSNSをざわつかせているのが、激安越境EC「Temu」だ。 Temuは特番の番組内でサービスの特徴を紹介する「インフォマーシャル」の手法を採用しており、大物タレントをアンバサダーに起用したパーフェクトダイアリー、BYDとは異なり、CMごとに違う芸人を起用している(TemuのCMに関する過去記事:激安EC「Temu」テレビ、YouTubeで広告増える謎 )。 西田さんは「サービス名を認知してもらうだけでなく、Amazonや楽天市場と何が違うのか特徴を明確にし、実際に使ってもらうことを狙っている」と説明した。
データ分析を手掛けるヴァリューズによると、一連のテレビCMが始まる前の2024年2月のTemuの利用者数は1270万人(推計値、月に1度以上利用した人を1と数える)だったが、6月には1960万人まで増えた。 中国ブランドのマーケティングからは日中の消費者の違いも見える。 パーフェクトダイアリーのようにターゲットを「若い女性」に絞っているブランドは、中国ではSNSにリソースが注ぎこまれるのに対し、日本ではテレビCMも併用される。同ブランドは日本上陸から2年経っており、これまでの展開を通じてテレビCMの必要性を認識した可能性もある。