太陽光発電の再編促す…エネ庁、有力事業者の買収に優遇措置
経済産業省・資源エネルギー庁は太陽光発電事業の再編を促すため、5万キロワット以上の発電実績を持つ企業を認定し、同業他社の買収に関する優遇措置を行う仕組み案を示した。審議会などで検討を進め、2025年度の導入を目指す。国内の太陽光発電は立地条件などから小規模事業者が地方に分散している傾向がある。事業集約化を進めて撤退や設備放置の増加を防ぎ、再生可能エネルギー供給の長期的な維持を図る。 【動画】ペロブスカイト太陽電池自動作製システムによるセル作製 エネ庁は競争的な環境下での発電実績を持ち、法令順守などの要件を満たす企業を「適格事業者」として認定する考えを示した。数十社の認定を想定し、事業売却を希望する事業者情報の先行取得や設備管理の効率化といった優遇措置を検討する。 同庁によると、日本の事業用太陽光のうち10キロ―50キロワットの小規模な設備容量(低圧)が占める割合は全体の34%に上り、発電設備の所有者も分散している。32年以降は再生エネ固定価格買取制度(FIT)の優遇措置が終了することから、同制度を活用する太陽光発電事業者の撤退の増加が見込まれる。国は長期的な再生エネの確保に向け、発電事業への再投資が行える事業者に集約する考えだ。 太陽光発電は立地が分散する一方、地産地消型で事業展開する企業が多い。有識者からは発電事業者の集約化に関して「地域に根ざした事業者に配慮しながら進めるべきだ」などの意見が出ている。 適格事業者の要件案には、周辺地域の住民など地域関係者からの信頼を得ることなどが盛り込まれた。今後は25年春めどの制度開始を目指し、認定要件や優遇措置などの詳細を詰める。