【解説】トランプ氏“暗殺未遂” 「容疑者の素顔」「突き上げた拳」「銃撃後の支持率」
■「神」と「信仰心」 トランプ氏が事件後に発信したキーワード
近野解説委員 「そしてもう一つ、気になるキーワードもありまして、それがトランプ氏が事件の後でSNSで発信したコメントの中にあります。『考えもつかぬこの出来事を防いだのは神のみだ。我々は恐れることなく、悪に直面しても信仰心と反骨の精神をもち続ける』。この『神』というワードと『信仰心』というワード、非常に大きな意味をもちます」 鈴江キャスター 「そうなんですね」 近野解説委員 「この数年、野党共和党、特にトランプ氏の支持基盤にはキリスト教保守派の占める重要性がとても増しています。彼らはトランプ氏について、聖書に忠実な自分たちの信仰の世界を実現してくれる“特別な人物”だというふうに位置づけています。こういう信仰心と愛国心が一体になったナショナリズムといえるうねりが今、アメリカで起きています」 陣内貴美子キャスター 「今回の危機がトランプ氏を応援する人たちの団結につながるという可能性もあったということですね?」 近野解説委員 「そういうことです。支持者のみなさんにとっては、トランプ氏はやっぱり何か神がかり的な、特別な『何か』があるんではないかという思いを、今回の事件から再確認する可能性があると考えられます」
■過去にも…機転を利かせて強いリーダー像を示したレーガン元大統領
鈴江キャスター 「続いての3つ目のポイント、『銃撃後の支持率』。変化というのは実際あるんでしょうか?」 近野解説委員 「トランプ氏がどこまで結果について意図していたかは、もちろん、わかりませんが、ここまで説明したような動きは、銃撃を受けながらも機転を利かせて強い姿勢を示したリーダーという印象を受けますよね」 「こうした振る舞いや言葉がもたらす結果について、アメリカの過去の事例を1つ紹介します。1981年3月、就任から間もないレーガン氏、当時の大統領がみまわれた暗殺未遂事件です。レーガン氏が車のすぐそばで至近距離で胸を撃たれ、シークレットサービスや側近が車の中に有無を言わせず大統領を押し込みました」