KDDIの「AIドローン構想」が示した警察支援の可能性,ローソン拠点から10分以内対応の新モデルを提案。
そこで同社が打ち出したのが「フェーズフリー」という考え方だ。災害時だけでなく、平時から様々な用途でドローンを活用することで、投資効率を高めようという戦略である。すでに石川県では、能登半島地震後の橋梁点検にドローンを活用。インフラ点検や警察活動支援など、日常的な業務での実績を積み重ねている。 平時のドローン活用については、ユースケースの開拓が進んでいる。「地域によってユースケースが異なる。密漁対策が必要な地域もあれば、熊の出没対策や防犯対策を求める声もある」とKDDI鶴田氏は述べた。
もちろん、技術の進展も進む。2025年に発売予定のドローンポート「Dock for X10」は、自動離発着と充電機能を備え、24時間365日の即時出動を可能にする。通信圏外での運用を可能にするスターリンクとの直接通信も視野に入れる。「将来的には1人のオペレーターが複数機のドローンを操作できるようになる」とKDDIスマートドローンの博野社長は展望を示した。 将来的には商品配送や物資輸送への展開も視野に入れるが、ここには法規制や技術的課題が残されており、即時の実現は難しい。まずは今回実証された警察活動支援のような具体的なユースケースから着実に実績を重ね、段階的な実用化を進めていく方針だ。
石井 徹 :モバイル・ITライター