KDDIの「AIドローン構想」が示した警察支援の可能性,ローソン拠点から10分以内対応の新モデルを提案。
■警察活動へのドローン導入を巡る課題 能登半島地震や奥能登豪雨での経験から、ドローンの有用性は警察としても実感している。しかし、その実装方法については、KDDIが提案するような民間企業のドローン活用サービスを利用する方法と、警察が自前でドローンを保有・運用する従来型の方法のいずれが適切か、検討を要する段階だ。「企業との連携には整理すべき課題が多い」と大嶌本部長は慎重な姿勢を示す。 実際、今回は実証実験として警察署からの通信指令を受けてドローンが出動し、現場の状況を共有する一連の流れを確認したが、これはあくまで実験的な連携体制だ。大嶌本部長が「警察主導で行っているわけではない」と説明するように、将来的な実装方法については、今回のような民間企業との連携に限らず、様々な可能性を検討していく段階にある。
この判断の背景には、警察活動特有の要件がある。基本的に警察でのドローン運用は警察職員が行うことがほとんどだ。民間企業のサービスを活用する場合、運用体制や情報管理など、整理すべき課題は多い。また石川県デジタル推進監の成瀬氏によると、実際の導入に際してはプロポーザル方式での業者選定なども想定されるという。「今回はKDDIにユースケースを示していただいたが、本格導入となれば改めて検討することになる」と説明した。
■全国10分圏内へ――コンビニ発のドローン構想 今回の実証実験で示された警察活動支援の可能性。これはKDDIが描く「日本中どこでも10分以内で駆けつけられる」という壮大な構想の一歩だ。石川県での取り組みを皮切りに、同社は全国のローソン店舗をドローン基地として活用する計画を進めている。 最大の課題は初期投資の大きさだ。1機250万円するSkydio X10ドローンに加え、2025年には専用の発着基地となるドローンポートの導入も必要となる。ドローンオペレーターの人件費も月間100万円程度がかかってくる。「こうしたコストを災害対策予算だけでまかなうのは現実的ではない」とKDDIの松田CDOは語った。