なぜ日本S初戦でオリックスの「しびれた」劇的逆転サヨナラが生まれたのか…ジョーンズの四球とヤクルトのミス
池田氏は、吉田のサヨナラ打の背景をこう分析した。 「微妙なズレが生じていた。奥川の特に外角球で優れていた正確なコントロールと、気持ちの入った球威が、狂わせたものだったが、怪我で実戦から離れていた吉田は、試合の中でタイミングを修正していき最後はマクガフの速球をジャストミートした。首位打者を獲得した吉田の技術だったと思う」 前日の監督会議で高津監督はシリーズの予告先発を求めず、「奇策に出るか」とネットはざわついたが、蓋を開けると、山本vs奥川のエース対決だった。 元千葉ロッテの評論家の里崎智也氏が、「この第1戦を制した方がシリーズを制する」と予想した重要な開幕戦をオリックスが制した。その意義と今後のシリーズ展望を池田氏もこう見ている。 「エースの山本が救われ、3三振に終わった4番の杉本が救われた意味の大きい勝利になったと思う。6回で降りた山本は、その球数が示すように調子はいいとは言えなかった。私は、ヤクルトのファウル作戦が功を奏したというより、山本の修正がうまくいかず、空振りを取れず、凡退させられなかったと見ていた。山本がシーズンで15連勝する前に、少し負けが続いた時期があったが、悪いときはフォークが横に流れる現象が起きる。山本はフォークの落ちる角度と場所まで操作するが、そこが若干ずれていて、ヤクルトは6回でマウンドから降ろすことに成功した。奥川と山本の1イニングの差が、その後に響き、村上の2ランにつながったと思うが、ヤクルトにとって最高のシナリオが最後に崩れた。オリックスは勢いに乗るしヤクルトはショックが大きい負け方。ただ塩見、青木、山田ら主要打者にヒットは出ている。どう切り替えるかが重要だと思う」 16連勝中の山本が勝利投手になれない誤算を粘り強い一丸野球で帳消しにした意義は大きい。 中嶋監督は、「ヤクルトは強い印象を受けました。それ以上の気迫で戦っていきたいなと思います。最後まで応援して下さい。何かを起こします」とファンに呼びかけ、頼れるチームリーダーの吉田は、こう言って笑いを誘った。 「チーム全体として最後まであきらめない戦いができていた。それが初戦にできたのは大きな勝ちだったと思う。僕もファンの方も興奮して眠れるかどうか心配ですが、しっかりと寝て明日頑張ります」 今日21日の第2戦にオリックスはCSでは温存した13勝4敗の左腕エース、宮城を立てる可能性が濃厚。対するヤクルトも左腕の高橋奎で勝負する。 (文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)