トランプ氏の普遍関税10%避けるには…専門家が話す交渉戦略5種類=韓国
来年1月20日に第2次トランプ政権が発足して韓国経済が抱え込む最大リスク要素のひとつは主要輸出相手国である米国が普遍関税10%に代表される「関税障壁」を立てる可能性が大きい点だ。専門家らは韓国がそのターゲットから除外されるために大きく5つの交渉戦略を広げるべきと提言する。 何より「韓国政府は韓国企業が米国内の雇用創出に大きく寄与していることを強調すべき」という助言(呂翰九元産業通商資源部通商交渉本部長)が出ている。次期トランプ政権が普遍関税を課そうとする理由は自国の産業を保護し雇用を増やすことだが、韓国がすでに大きく寄与しているため普遍関税対象から除外すべきという論理だ。実際に米国の製造企業の自国回帰を支援する団体リショアリング・イニシアチブによると、昨年米国に新たにできた雇用28万7299件のうち14%が韓国から出た。寄与度は世界1位だ。現地工場新築などを通じてだ。給与水準が米国内すべての雇用平均を上回るなど質も良かった。 韓米自由貿易協定(FTA)を強調する必要もある(朴成勲高麗大学国際大学院名誉教授)。両国の貿易で全般的に関税を撤廃する内容のFTAは2012年3月に発効した。2019年1月からは改正されたFTAが発効されたが、全般的な無関税基調は維持された。さらに改正FTAは第1次トランプ政権がサインしたものだ。これを無視して普遍関税を課すのは米国の国格に合わず非合理的だと説得すべきという話だ。 次期トランプ政権は韓国の対米貿易黒字が莫大で増加傾向である点を根拠に韓国にも例外なく普遍関税を課そうとするかも知れない。実際に年間対米貿易黒字は第1次トランプ政権最後の年である2020年の166億ドルから着実に増え昨年は444億ドルを記録した。今年も9月までで399億ドルと年間基準で増加傾向を継続する可能性が大きい。 しかし「こうした米国の立場での貿易赤字は自国内産業と雇用のため良い赤字であると説得すべき」という提案(チョ・サンヒョン韓国貿易協会国際貿易通商研究院長)が出ている。実際に昨年の対米輸出額のうち中間財輸出の割合が50%を超える。米国の産業を萎縮させるどころかむしろ必須の部品と原材料を供給して米産業復興に寄与しているという意味だ。また、韓国企業が米国に工場を多く作って工場を運営するための設備輸出が増加した面もある。こうした状況で韓国に普遍関税を課せば米国にある韓国企業の工場などの調達費用を高め結局米国の雇用に悪影響を与える恐れがある。 また、次期トランプ政権に「韓国と米国は安全保障同盟国である点を強調すべき」(キム・ドンス産業研究院本部長)という話も出ている。キム本部長は「(トランプ氏が尹錫悦大統領に電話し協力を要請した)造船業や防衛産業などの分野で助けるので普遍関税対象から除外するよう求めるのが最も効果的とみられる」と話した。このほかエネルギー輸入時に米国の割合を増やすことも交渉のてこにできるという分析が提起される。原油の場合、すでに米国産の割合が急上昇中だ。2016年の0.1%から現在は16%を超える水準に上がっている。 産業界関係者は「現在米国が中国に対し多くの品目で25%の関税をかけている中で韓国などに対する普遍関税を適用すれば中国製品の価格競争力が高まり、米国は中国からの輸入が増加するだろう。それでは世界的供給網を米国中心に構築するというトランプ氏の目標に支障となりかねない。これを防ぐためには韓国など同盟国に対しては普遍関税を免除するようアピールすべき」と主張した。もちろんトランプ氏は「中国に特別関税60%以上を課す」とも公約したが、政治的負担が相当にあり、普遍関税から導入した上で時間を置いて中国への特別関税が導入される可能性が提起される。